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内閣府、国家戦略特区における家事支援人材の受け入れに関するパブコメ募集(8月5日~17日)
政府は、「女性の活躍推進」を掲げ、国家戦略特区において外国から「家事支援人材」(家事労働者)を受け入れるという方針を2014年初頭から公式に打ち出してきましたが、2015年7月、「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」が国会で成立し、7月15日に公布されました。これを受けて、内閣府が「家事支援外国人受入事業」を実施するにあたり、政令(案)と指針(案)の概要を示し、8月5日から17日までパブリックコメントを募集しています。公布から3ヵ月以内に施行すると定めており、早ければ9月1日の施行が予想されることから、パブリックコメントの募集期間が通常よりも短縮されています。
これまで、日本駐在の外交官や外国人の富裕層・専門職などが雇用する際に限り外国人家事労働者の在留資格が認められてきましたが、戦略特区では日本人家庭に派遣されることを認めるものです。現時点では、大阪府(関西圏特区)と神奈川県(東京圏特区)が受け入れを表明しています。
政令(案)は、「家事支援活動」として、ア.炊事、イ.洗濯、ウ.掃除、エ.買物、オ.児童の生活上の世話など(ア~エとカを併せて実施する業務)、カ.家庭において日常生活を営むのに必要な行為を代行又は補助する業務、としています。
オの児童は赤ちゃんも含み、ベビーシッティングの業務を想定しています。また、カの「日常生活を営むのに必要な行為」は、介護的サポートをはじめとする高齢者介護を含むものと思われることから、限りなく領域の広い業務が定義されています。
指針(案)は、家事支援人材(労働者)の雇用や人権を保護するために受入事業者が講ずべき措置が列挙されています。しかし、外国人技能実習生がこれまで受けてきた数多くの人権侵害のケースから判断すると不十分な点が散見されます。
<パブリックコメント募集のページ>
「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」に関する意見募集について
「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業に関する指針(案)」に関する意見募集について
<参考>
【ハフィントンポスト】外国人家事支援人材制度を人身取引の温床にするな(2015/06/01)
【毎日新聞】クローズアップ2015:外国人「お手伝いさん」特区実現へ 女性の家事負担軽減狙う 普及へ価格課題(2015/06/21)
アベノミクスのもとでの「外国人家事支援人材」の受け入れの目的は?(ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ 2014年7月)
拙速な「外国人家事支援人材」受け入れに抗議し、ILO家事労働者条約の批准を求める共同声明(2014年6月27日 特定非営利活動法人アジア女性資料センター、移住労働者と連帯する全国ネットワーク)