ヒューライツ大阪は
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1.国内人権機関とは
(3)なぜ日本に国内人権機関が必要なのか?
ここまでで、国内人権機関とはどういう役割をする組織なのか、きちんと役割を果たすためにはどういう条件が整っていなければならないのかを見てきました。では、そうした組織は日本にも必要なのでしょうか? それとも、すでにあるのでしょうか?
①日本にも必要?
- もし、あなたの人権が踏みにじられたら、どうしますか? たとえば、自分が年を取ったときのことを想像してみてください。年を取ったら、病気になって寝込んでしまうかもしれません。年を取ったり、病気になったりすれば、自分ひとりで生活することが難しくなります。そうなったら、家族がいる人は家族と一緒に住んで、世話をしてもらうことができるでしょう。家族がいない人は、介護施設などに住もうと思うかもしれません。
ところで、一緒に住んでいる高齢の親に食事をさせない、暴力を振るうといった虐待や、介護施設などの職員が、入所している高齢者をベッドや車椅子に縛りつける、大声でどなるといった虐待などの事件のニュースを見たり聞いたりしたことがあると思います。だれもが年を取るわけですから、こうした虐待を受ける可能性はだれにでもあると言えます。つまり、「わたしには関係ない」話ではなく、自分もそういう目にあうかもしれない、「わたしの問題」になる可能性があるということです。
そう考えると、気軽に相談できる専門家がいればとても助かるはずです。病気の人は医者に診てもらう、法律についての問題があれば弁護士に相談するのと同じことです。
人権を踏みにじる行為について相談に乗ってくれる組織として、現在では、法務省人権擁護局という組織があります。この組織ががんばって対応して解決している問題もありますが、実は、この組織ではどうしても解決できない、重大な人権問題があるのです。