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2.国内人権機関Q&A

(4)障がい者、子ども、女性など、個別の課題ごとに対応すれば十分ではないですか?

 人権侵害の被害者となる対象者や課題ごとに人権侵害救済機関を作り、対応することも一つの案でしょう。ですが、その場合とそうでない場合のメリットとデメリットを比較検討する必要があります。

 メリットとしては、単一の課題だけを扱う機関を設置する場合は、当事者団体や管轄省庁などの関係者が比較的少なく、調整がしやすいと思われることです。合意が早いほど、その問題を取り扱う人権侵害救済機関もその分早くつくられることにもなるでしょう。

 一方、デメリットは、第一に、課題別の対策だけに頼ってしまうと、縦割り行政の弊害が及ぶ恐れがあることです。例えば、救済機関の対象範囲から外れてしまう被害者や案件などが出てきて、制度の隙間に落ちてしまうかもしれません。第二に、個別ごとの対応にすると、管轄省庁ごとにそうした組織をつくることになり、包括的なものを一つ作るよりも結果として多くの予算がかかり、それぞれが十分な人材を集めることも難しくなることです。

 人権侵害はなぜ起きるのか、その原因や理由が課題によって大きく異なることはないと思われます。すなわち、自分と違うものは劣っている、だから差別してもいいというような、一人ひとりの存在を尊重しない姿勢や考え方が人権侵害の根っこにあるということです。課題や被害者が異なれば、その対応が異なったものになるのは当然ですが、問題が起きる根っこが同じなのであれば、一つの組織で柔軟に対応できるようにしておく方が、結果として、予算の節約にもなり、優秀な人材をそろえ、十分に対応できる態勢を整えておくことになります。また、経験の蓄積と共有による効果的な運用が望めることも期待できます。