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農地を求める農民が銃撃される-フィリピンのネグロス島

 フィリピンの砂糖きび労働者や農民の自立のための支援を行っている「日本ネグロス・キャンペーン委員会」(JCNC)によると、同委員会が支援する西ネグロス州砂糖きび農園の農民組合が耕作するエスペランサ農園で03年3月6日、発砲事件が起きた。
 当日、包括的農地改革法に基づく土地所有裁定証書(CLOA)を取得して耕作を開始しようとした農民たちが、元地主の雇う私兵に銃撃され、1名が死亡、2名が負傷したのである。政府による土地測量が終了し、正式な耕作許可を得た農地改革の対象地で、こうした惨事が起こったのは独裁体制で知られるマルコス政権時代以降、初めてのケースだという。
 同農園の農民組合は、99年に耕作権を得たものの、元地主による暴力や脅迫により農地に立ち入ることができなかったことから、02年11月にアロヨ大統領と会見した結果、農地改革省や警察に対して、農民の耕作権を保障するよう大統領は命令を出していたといういきさつがある。
 事件を指示したとされる地主は、ネグロス島に3,000ha以上の農地を所有する大地主だという。農民組合は、地主や農園責任者を殺人・殺人未遂共謀罪で地裁に告訴する準備を進めている。フィリピン国家人権委員会(CHR)も現地調査を行い、原告団に加わっている。
 フィリピンで、アキノ政権発足後の88年に小作農民や農業労働者に農地を分与することを定めた包括的農地改革法が施行されて以来、約15年が経過している。しかし、西ネグロス州においては、砂糖プランテーションを所有する少数の大地主が、農地を分与することに対して根強く抵抗しており、対象地の半分も解放されておらず、全国で最も農地改革が遅れている州の一つとみられている。

(日本ネグロス・キャンペーン委員会 http://www.jca.apc.org/jcnc

(2003年03月06日 掲載)