韓国では、長年にわたり女性団体が、女性差別を温存するものとして戸主制度の廃止を要求してきましたが、このたび法務省が戸主制度の廃止を盛り込んだ民法の改正案を予告しました(2003年9月4日)。
これは現大統領の政治公約の柱の一つです。現行の民法では、戸主継承の順位が男性優先であるため、夫が亡くなるとその妻ではなく幼くとも息子が戸主になっ たり、子どもは父の姓のみ受け継ぐので離婚した母とその子どもは姓が違い、同一の戸籍には入れないという状況を生んできました。
改正案では、「戸主」概念が削除され、例えば、子どもの姓は原則として父方を継ぐが、夫婦が合意すれば母方の姓を継ぐことも可能としています。しかし個人 単位の身分登録制は今回導入されませんでした。女性団体連合会をはじめ女性団体は早期廃止実現を期待していますが、儒学界などからは、伝統的な文化を否定 し家族解体が加速するとして反対の声があがっており、改正案成立には難航も予想されています。9月から開かれている今期通常国会を通過すれば2006年か ら施行されます。
(2003年10月01日 掲載)