2005年3月2日に、戸主制廃止を柱にした民法の改正案が韓国国会の本会議で可決されました。235名の議員が投票し、結果は賛成161票、反対58 票、棄権16票でした。これによって民法から戸主制に関連する条項が削除され、男性優先の戸主を中心に編成されてきた「家」単位の身分登録システムが大き く変わります。改正案は、併せて「同本同姓(一族の先祖の出身地とされる「本貫」が同じで姓も同じ)」同士の結婚禁止を廃止し、女性にのみ適用されていた 再婚禁止期間の条項を削除することなども盛り込まれています。さらに、結婚時に夫婦が合意すれば母親の姓を継ぐことができるようになりました。ただし、子 どもの姓はまず父の姓を継ぐのが原則であるなどの制限が指摘されています。
今回の民法改正について長年にわたり戸主制廃止の運動をすすめてきた市民団体は概ね歓迎を表明しています。韓国の代表的な女性団体である韓国女性団体連合はホームページで声明を発表し、「根深い性差別の歴史を再生産してきた戸主制の廃止を大歓迎」し、「民主的で水平的な共同体の価値を実現できる重要なスタート」であるとしています。
儒教界などは、戸主制廃止によって伝統的な家族共同体の文化がこわれると主張して反対していますが、2005年2月3日には憲法裁判所が戸主制に対して違 憲判決を出すなど廃止への流れは加速していました。戸籍に変わる新しい身分登録制度の準備のために2008年の実施までは現行の制度が存続します。
韓国女性団体連合HP (韓国語)
韓国女性省HP (韓国語)
(2005年03月01日 掲載)