12月10日、開催中の第63会期国連総会 は、世界人権宣言の60周年を記念して、人権の普遍性、不可分性、相互依存性を確認し、人権の完全な実現に向けて取り組むことを再確認する宣言 (A/RES/63/116)を採択しました。この宣言は、人権が世界のあらゆるところで十分に尊重されておらず、どの国・地域もすべての人に常 時すべての人権を実現しているといえないと述べ、国連加盟国に、あらゆる人権を促進・保護し、人権侵害を防止・阻止し、救済する努力を拡大する義務がある と述べています。
また、総会は総会第三委員会の報告(A/63/435)に含まれていた社会権規約の選択議定書案(A/RES/63/117)を採択しました。 この選択議定書案は、社会権規約にあげられる、経済的、社会的および文化的権利のいずれかを侵害された締約国内の個人、または個人の集団、あるいはその代 理人が社会権規約委員会に通報することができるという個人通報制度と、その権限を認めた締約国内の規約にあげられた経済的、社会的および文化的権利の重大 または制度的な侵害に関する信頼できる情報を受けた場合、社会権規約委員会がその国の協力の下に調査を行う調査制度について規定しています。社会権規約と 同時につくられた自由権規約は、実施のために個人通報制度をもち、その他の主要人権条約の多くも、個人通報制度や調査制度を規定していますが、社会権規約 は、締約国の報告提出とその審議以外の実施制度をもちませんでした。
この案に関する第三委員会の審議で は、社会権や、社会権規約の漸進的実施、国家の政策選択の裁量が第三者機関での審査になじまないなどの批判的意見が出されていましたが、コンセンサスで採 択され、総会本会議でも全会一致で採択されました。
決議によると選択議定書は2009年に署名に開放されることとなっています。(12月11日)
出所:
General Assembly marks 60 years of universal human rights declaration by adopting its own, pledging to enhance dialogue among peoples 12月10日付国連プレスリリース GA/10795
Third Committee Recommends General Assembly Adoption of Optional Protocol to International Convention on Economic, Social and Cultural Rights 11月18日付国連プレスリリース GA/SHC/3938
参考:
「第8回国連人権理事会、社会権規約選択議 定書案、各国の普遍的・定期的審査(UPR)報告を採択」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ
(2008年12月01日 掲載)