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「反人種主義・人種差別撤廃世界会議」(ダーバン会議)レビュー会議、開催される

 4月20日から24日、「反人種主義・人種差別撤廃世界会議」(ダーバン会議)のフォロー・アップを行うダーバン・レビュー会議がジュネーブの国連欧州 本部で開催されました。
 国連は06年の第61回総会で、01年に開催されたダーバン会議で採択された宣言・行動計画の実施状況を評価する会議を開催することを決定し、 07年から委員会を設置し、準備を進めてきました。準備段階では、レビュー会議の成果文書案に盛り込まれた宗教に対する中傷と表現の自由の関係、イスラエ ルのパレスチナ占領などに関わる文言、NGOの参加などに関して議論の対立が見られ、直前になっても成果文書の草案がまとまらないのではという懸念が浮上 したものの、3月に成果文書案を起草する政府間作業部会の議長が作成した案を新たにたたき台として、宗教の中傷やイスラエルのパレスチナ占領に言及しない 草案がつくられました。また、一時、01年のダーバン会議を途中から退席した米国が準備会合に復帰する場面もありました。しかし、結局米国、イスラエル、 イタリア、オーストラリア、オランダ、カナダ、ドイツ、ニュージーランド、ポーランドが会議に不参加を決めました。
 20日の午後には、イランのアフマディネジャード大統領が会議での演説で、イスラエルをはじめ、米国・欧州諸国を「人種主義的政権」などと非難 し、フランスをはじめとする欧州などの代表などが退席しました。イラン大統領の発言には、会議でその後の発言者や潘基文国連事務総長、ピライ国連人権高等 弁務官も非難をしています。また、日本政府も代表団のステートメントのなかで非難しています(同会議の「概要と評価」)。
 会議では当初、最終日に採択する予定であった143パラグラフからなる成果文書を2日目の21日にコンセンサスで採択しました。これに対して、 参加したNGOのなかから、市民社会の声が反映されていないとの非難の声があがっています。
 文書は、01年のダーバン宣言・行動計画を再確認し、人種主義、人種差別、外国人排斥、不寛容と闘うコミットメントを改めて確認した上で、01 年以降、国連を含む国際社会、地域、国内においてとられた措置を歓迎しています。一方で、同じ時期の人種・宗教的不寛容や暴力、憎悪の増加に対して懸念を 表明しています。また、国連の人権高等弁務官事務所などに設置された、作業部会などダーバンのフォローアップ・メカニズムについても評価し、一層それらの 実効性を高めていく必要を認めています。また、人種主義、人種差別などとの闘いにおいて、表現の自由、情報を得る自由の役割について確認する一方、自由権 規約の20条に規定する宗教的、人種的憎悪の扇動を禁止するよう呼びかけるほか、人種主義、人種差別などに対して必要な立法措置をとる、被害者の救済への アクセスを確保するなどを促しています。(5月1日)

「Durban Review Conference Starts High-Level Segment and Hears Statement by President of Iran」4月20日付国連プレスリリース 
イ ラン大統領の発言に対する国連事務総長のステートメント
イ ラン大統領の発言に対する国連人権高等弁務官のステートメント
「Durban Review Conference Adopts Outcome Document」4月21日付け国連プレスリリース

参考:
Durban Review Conference (国連人権高等弁務官事務所)
ダーバン会議で採択された宣言・行動計 画(日本語訳) 

「ダーバン・レビュー会議、2009年4月開催」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフhttps://www.hurights.or.jp /news/t/0806/02.html 
「ダーバン宣言・行動計画レビュー準備委員会の開催」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(07年9 月)https://www.hurights.or.jp/news/0709/b02.html 
「国連総会第三委員会がダーバン・フォローアプに関する決議を採択」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(06年12 月)https://www.hurights.or.jp/news/0612/b03.html 

(2009年05月01日 掲載)