3月1日から12日まで、第54回国連女性の地位委員会が開催されました。1995年に開催された北京女性会議から15周年にあたる今会期は、北京会議で採択された北京行動綱領の実施がこの間どの程度進展したかなどの成果が、国、地域、全体のレベルで検討されました。また、3月2日には、国連総会において北京会議の15周年の記念会合が開催されました。
委員会には、各地域の経済社会委員会による、北京行動綱領実施の進捗状況の報告や、各地域で採択された宣言が出され、それをもとに行動綱領の実施とミレニアム開発目標達成の関係や経済不況における女性のエンパワメントなどが検討され、その内容が経済社会理事会に提出されることになりました。
アジア・太平洋地域については、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が、09年11月に地域会合を開催し、バンコク宣言を採択しました。この地域では、北京行動綱領の実施に進展がみられるものの、地域の経済発展に比べると、貧困層にいる女性の割合が高く、十分な保護のない非正規で働く女性が多く、賃金格差が大きいこと、教育では一部ほぼ男女平等を達成できた国もあるものの、教育への予算自体が低い国が多く、まだ女児や女性の教育の取り組みが必要な国もあること、また政治などの意思決定の場への女性の参加が低いことなどが報告されていました。
委員会は、武力紛争において人質としてとられたり、その後拘禁される女性や子どもについて、そのような行為や、拷問、非人道的な処遇などを非難し、とらわれた女性や子どもの即時の釈放や、武力紛争当事者の、特に文民の保護に関する国際人道法の十分な尊重、被害を受けた女性や子どもへの人道援助を妨げないことなどを要請する決議や、女性の経済的エンパワメント、女性のエンパワメントを通した妊産婦死亡の撲滅、パレスチナ女性への支援、女性の性器切除などに関する決議を採択しました。また、総会が、国連の既存の4つの部局・機関を統合して、女性の平等とエンパワメントに向けた支援を強化することを決めたことを歓迎する決議も採択しました。
(2010年03月01日 掲載)