移住労働者権利委員会の第13会期が、11月22日から12月3日まで開催されていました。この会期中、委員会はアルバニア、エクアドルおよびセネガルの報告を審議した他、条約の採択20周年を記念するパネル・ディスカッションが行われ、また、委員会としては初めての一般的意見を採択しました。
国際労働機関(ILO)や国際移住期機関(IOM)などの国際機関、NGOや政府代表などが参加したパネル・ディスカッションでは、移住労働者権利条約が、移住の拡大する中で権利を基盤にしたアプローチを打ち出したことの重要性が強調され、20年の間に少しずつ移住労働者の送り出し国だけではなく、中継国や受け入れ国も批准していることが指摘されました。
移住家事労働者に関する一般的意見1は、募集、移動、到着、残された家族や帰国を含む移住のサイクルにおいて移住家事労働者の直面する問題をあげ、保護の欠けている点を指摘しています。例えば、国際法や多くの国の労働法、契約法、社会保障に関する法など法律に家事労働者が含まれていない、あるいは排除されていること、職場が家の中であり、外から見え難いことや家事労働が多くの場合、非正規部門であることなどがあげられています。続いて、一般的意見は締約国に、家事労働で移住する人に対する情報提供や出発前の啓発・研修を行い、支援すること、移住労働者の権利に関する基準をつくり、それを満たす業者しか業務を行わせない、または料金なども含む業者の行動規範をつくるなど仲介業者などの規制や管理、他の労働と同じ保護を付与するよう、家事労働の国内法による規制、最低賃金、労働時間、休暇など労働条件、平等な社会保障、へのアクセス、団体交渉や結社の自由、移動の自由などの保障、司法や救済手続へのアクセス、女性に対する暴力、結婚や移動に関する女性に対する差別的な法律などジェンダーの視点などについて勧告を行っています。また、移住した子どもが危険または有害な家事労働に従事しないよう確保すること、子どもが在留資格の有無にかかわらず無料で義務教育、中等教育を受けられるよう確保すること、家事労働が子どもの教育を妨げないよう確保することなど、子どもに対して特別の保護を勧告しています。さらに、移住家事労働者の本国の大使館や総領事館が、苦情の申立てを受ける十分な人員と手続を確保する、カウンセリングやシェルターを提供する、迅速な書類の作成など困難な状態にある労働者の帰国を支援するなど、積極的に労働者の権利の保護をするよう勧告を行っています。 (12月13日)
参考:
Committee on Protection of Rights of Migrant Workers concludes thirteenth session12月3日付国連人権高等弁務官事務所プレスリリース http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=10581&LangID=E
Committee on the Rights of Migrant Workers commemorates twentieth Anniversary of the Convention11月29日付国連人権高等弁務官事務所プレスリリース http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=10570&LangID=E
移住労働者権利委員会(国連人権高等弁務官事務所)http://www2.ohchr.org/english/bodies/cmw/index.htm
(2010年12月15日 掲載)