自由権規約委員会の第102会期が、7月11日から29日に開催され、エチオピア、カザフスタン、ドミニカ共和国、ブルガリアの報告が審議された他、自由権規約19条の表現の自由に関する一般的意見34が採択されました。この一般的意見は、1983年に採択された19条に関する一般的意見10にとってかわるものとして採択されています。
一般的意見は、19条1項の意見をもつ自由については、何の例外も制限も設けられていないことが指摘され、何らかの意見を有しているという理由での,逮捕、拘束、訴追などを含む、嫌がらせ、威嚇などは規約に反するとしています。また、特定の意見をもつよう,あるいは持たないよう強いることも禁止されると述べられています。
また、表現の自由とメディアについて、インターネットやモバイルなど情報通信技術の発展をも考慮し、これら新しいメディアの独立を確立し、人びとのこれらのメディアへのアクセスを確保するよう求めています。
さらに、具体的な分野での表現の自由の制限に関して、2008年日本への総括所見にあげられた、選挙運動における戸別訪問や、チラシなどの制限などを特に懸念される制限として挙げています。同じく政治活動の分野で、国家元首や政府首脳など政治権力者に対する批判や反対意見を抑制するような、名誉毀損罪、不敬罪などに関して懸念を表明しています。また冒涜罪など宗教や信仰に対する不敬の表現についても、特定の宗教に有利,あるいは不利になってはならず、また宗教指導者への批判や宗教の教義に対する意見を禁止するものとなってはならないと述べています。
自由権規約委員会のオフラハティ委員は、この一般的意見が意見をもつ自由と表現の自由に関わる問題を説明し、この自由の制限が認められる厳格な範囲を示している、と述べています。 (8月9日)
出所:
自由権規約委員会一般的意見(OHCHR)http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/comments.htm
自由権規約委員会第102会期(OHCHR)http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/hrcs102.htm
参考:
「自由権規約委員会、日本に対する総括所見を採択」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2008年11月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2008/11/post-59.html
(2011年08月11日 掲載)