スイスの世界経済フォーラム(WEF)は、11月1日、2011年のジェンダー・ギャップ報告を公表しました。
2006年から公表されているこの報告は、経済、教育、健康、政治の分野における資源や機会へのアクセスについての男女の格差をいくつかの指標で表しています。経済の分野では、労働市場参加、類似の仕事に対する賃金、所得などの男女比、教育では、初等、中等,高等教育の就学や識字率の男女比、健康では、誕生時、平均寿命の男女比、政治では、議会、省庁の男女比や女性の元首などの在席年数などが指標とされています。実際の資源や機会のレベルを見るのではないため、各国の経済状況や発展の度合いによる違いは反映されていません。報告は、この指標がジェンダーのエンパワメントではなく、ジェンダーの平等を表していると述べています。
135カ国を比較した2011年の報告では、日本は2010年の94位から少し後退し、98位となり、107位の韓国とともに、昨年同様OECD諸国の中でもっとも低いと評されています。日本は、健康については1位ですが、教育では、識字率、初・中等教育では1位でありながら、高等教育については96位でこの分野では80位、経済への参加や機会については100位、政治の分野では101位でした。日本については、高等教育を受ける人の半分が女性でありながら、指導的な地位につく女性が9%と女性の能力の活用の不効率が指摘されています。
上位10カ国は、昨年から若干の順位の変動があったものの、アイスランドを1位に、北欧4カ国、アイルランド、ニュージーランド、フィリピン、レソト、スイスでした。昨年16位で、アジアの国としては上位に常にいたスリランカは経済における格差、高等教育における格差のため31位に後退し、上位20位までにいるアジアの国はフィリピン1国となりました。(11月8日)
出所:
Global Gender Gap (World Economic Forum) http://www.weforum.org/issues/global-gender-gap
参考:
「ジェンダー・ギャップ指標2010、公表」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2010年10月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2010/10/2010.html
(2011年11月09日 掲載)