3月27日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2011年の先進諸国44カ国における庇護申請者数などについて報告を公表しました。
報告によると、近年減少していた庇護申請の数は2011年、約20%急増し44万件を越え、2003年以降もっとも多い数となりました。増加の背景には、アフガニスタン、コートジボアール、リビア、シリア、チュニジアなどの紛争や混乱があるとしています。欧州では全体として19%増加しましたが、北欧では10%減少する一方、南欧諸国では87%の増加がありました。その中でも、著しいのが北アフリカからの申請者が増加したイタリア、マルタやトルコでした。日本と韓国もあわせて77%と大幅増加となりましたが、絶対数では他の地域に比べて少なく、それぞれ1,900件と1,000件でした。昨年と同様、日本ではミャンマー出身の申請者が多く、韓国はパキスタンと報告されています。
申請者のもっとも多かったのは、6年連続で米国であり、フランス、ドイツと続き、4番目には、チュニジアからの申請者が増加したイタリアが2010年4位のスウェーデンの前に入りました。この5カ国で全体の53%を占めます。申請者の出身国では、2011年もっとも多かったのは、アフガニスタン、ついで、中国、イラク、セルビア、パキスタンでした。
一方、報告の公表に当たり、先進諸国における庇護申請の総数はソマリアからの難民が住むケニアのダバーブのキャンプの人口よりも少ないこと、世界でもっとも庇護申請が多かったのは報告には含まれていない南アフリカだったことが指摘されています。
日本については法務省が2月24日に2011年の難民認定申請者についての統計を公表していますが、1,867人と、難民認定制度発足以来最高と述べています。また2011年に難民と認定された人は21人、認定されなかったが、人道配慮により在留が認められた人は248人でした。(4月3日)
出所:
Asylum Levels and Trends in Industrialized Countrieshttp://www.unhcr.org/4e9beaa19.html
“Asylum claims in industrialized countries up sharply in 2011” UNHCR News Stories Marcy 27, 2012 http://www.unhcr.org/4f7063116.html
法務省「平成23年における難民認定者数等について」http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00085.html
参考:
「庇護申請者の人数が過去10年で大幅減、国連難民高等弁務官事務所」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2011年3月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2011/03/10.html
(2012年04月03日 掲載)