10月31日、国連人権理事会による、2回目の日本の人権状況の普遍的・定期的審査(UPR)が行われました.
UPRは、2006年につくられた人権理事会の下の制度として、国連のすべての加盟国の人権状況を加盟国同士で定期的に審議するものです。審査は、対象となる国が自国の人権状況についてまとめた報告、人権諸条約の委員会や、特別報告者など国連の人権機関が対象国について出した指摘、勧告などを国連人権高等弁務官事務所がまとめた報告、NGOなどが対象国について提供した情報を国連人権高等弁務官事務所がまとめた報告をもとに、UPR作業部会で行われます。3時間半の審議では、対象国の政府代表が人権状況を説明し、各国代表が質問や勧告を行い、対象国代表がそれに答えます。勧告などは報告にまとめられ、作業部会によって採択され、人権理事会で最終的に採択されます。その際、対象国は各国から出された勧告を受け入れるかどうかについて回答します。
日本の審議は10月31日に行われ、11月2日に報告が採択されました。審議では、日本の政府代表の説明に続き、79の政府代表が質問や勧告などを行いました。
最終的には、170以上の勧告が出されました。その主なものは、日本がまだ批准していない人権条約、選択議定書などを批准すること、個人通報制度を受け入れること、パリ原則に則った国内人権機関をつくること、直接差別、間接差別を含む、女性、人種、障害の有無などの根拠による差別を禁止する法律をつくること、人種主義的、排外的な発言に対して法律をつくること、婚外子への差別、女性と男性の婚姻できる最低年齢など国際法に則して家族に関する法律を見直すこと、マイノリティの女性も含め女性の平等を促進すること、死刑を廃止、またはモラトリアムを実施すること、代用監獄、その他の拘禁施設の待遇を国際基準にそって見直し、改善すること、人身売買の撲滅の取り組みを強化すること、「従軍慰安婦」の責任を認め、被害者の尊厳回復に取り組むこと、人権分野の国際協力を強化することなどがあります。
未批准の人権諸条約の批准、個人通報制度の受け入れ、国内人権機関の設立、差別禁止法の制定、死刑の廃止など勧告の多くは、1回目のUPRで勧告され、日本もフォローアップを約束しているものでした。
これらの勧告と日本政府のその勧告を受け入れるかどうかを含めた回答をまとめた報告が2013年3月の第22回人権理事会で検討される予定です。(11月5日)
出所:
Universal Periodic Review – Media Brief – Japan (OHCHR) http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/UPR/Pages/Highlights31October2012pm.aspx
UPRの概要(外務省)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken_r/upr_gai.html
参考:
「国連:日本の人権状況の普遍的・定期的審査」ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2008年5月)https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2008/05/post-39.html
(2012年11月06日 掲載)