国連で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則 」が示した企業の人権尊重責任に関連したものとして、女性や先住民族、子どもなど当事者グループ別に焦点を当てて取組む動きが出てきています。
女性のエンパワメント原則(WEPs)は、国連グローバル・コンパクトとUN Women(ジェンダー平等と女性のエンパワメントのための国連機関)が協力して作成し、2010年3月に発表されました。WEPsは、企業が女性の権利を職場、市場、そして地域社会の中で尊重し支援するためにはどのように取組めばいいのかについて、7つの原則にまとめています。各企業は、経営トップがWEPsを支持するステイトメントに署名することでその取組みに参加します。2014年3月現在、世界で681社が参加していますが、そのうち日本企業は204社であり、世界最多となっています。
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このようにWEPsは「女性のエンパワメントやジェンダー平等」に関する企業の責任と役割に注目したものであり、一方、指導原則は企業が人権一般を尊重する「責任」を規定しています。両者は補完的し合った内容となっています。
WEPsのさらなる推進のため、国連グローバル・コンパクトとUN Womenは、3月8日の「国際女性の日」に合わせて年次会合を共催してきました。第6回目となる今回の年次会合では「ジェンダー平等とグローバルな雇用課題」をテーマに3月5-6日にニューヨークで開催されました。会合には、企業、政府、市民社会、学術界から約250名のリーダーが参加し、職場におけるジェンダー平等を実現するための取組みや教訓について議論しました。日本政府は、フィンランド政府、ニュージーランド政府とともに開会のレセプションを主催するなどサポーターを務めました。
年次会合では、「WEPsリーダーシップ大賞」の授与が行われました。「WEPsリーダーシップ大賞」とは、ジェンダー平等の実現に取組む企業で、WEPsの7原則への取組みが特に革新的である企業の最高経営責任者を称えるために創設されました。2回目となる今回は、ボイヤー・ホールディングス社(トルコ)、パックス・ワールド社(米)、コカ・コーラ(米)、ワィプロ社(インド)、HCLテクノロジーズ社(インド)と各社の最高経営責任者が受賞しました。
(2014年03月17日 掲載)