そうしたなか、外務省は、関西NGO協議会およびNPO法人AMネットの協力のもと、6月1日に神戸のJICA関西国際センターで、ODA大綱見直しに関する意見交換会(関西)を開催しました。
意見交換会では、外務省国際協力局政策課の高杉優弘課長が大綱改定の背景やプロセス、有識者懇談会における議論のポイントを説明し、参加者による質疑や意見が述べられました。ODA事業に関わる企業、開発コンサルタント、NGO、研究者、学生など60人超の参加がありました。
質問はそれぞれの立場から多岐にわたっていましたが、改定をめぐる論点のなかで、ODAの戦略的活用やPKOなどとの連携という議論が背景にあること、ODAの軍事利用への懸念がメディアを通じて報道されているという事情から、そのことに関する質疑が多く出ました。
ODA大綱は、政府開発援助の理念や原則を明確にするために策定された閣議決定文書ですが、1992年にはじめて策定され、2003年に改定されて現在に至っています。外務省によると、この10年のあいだに、国際貢献と国益の両立の観点からODAに求められる役割の多様化、国際社会の開発に関する議論の変化、民間資金およびODAには含まれない公的ファイナンスとの連携強化の必要性、国際平和協力における要請といった変化が見直しの背景にあります。
3月に編成された8名からなる有識者懇談会は、それらの背景を踏まえて、すでに3回の会合を終え、6月に開催される第4回会合で報告書を取りまとめる予定です。
そうしたなか、国際協力に関わるNGOが中心となって「途上国の開発と貧困・格差の解消に非軍事的手段で貢献するODAを」をはじめとする大綱見直しに関するNGO共同声明を発表し、市民社会における関心の高まりと議論の深化を呼びかけています。
今後、意見交換会は他の地域でも開催されるとともに、関西においても継続して開催されるとのことです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/kaikaku/taikou_minaoshi/index.html
政府開発援助(ODA)大綱の見直しについて(外務省)
http://www.janic.org/news/odango.php
「途上国の開発と貧困・格差の解消に非軍事的手段で貢献するODAを 」(国際協力NGOセンター(JANIC))
(2014年06月02日 掲載)