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女たちの戦争と平和資料館、朝日新聞の「慰安婦」検証報道をめぐり要請文(8月10日)
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)は、8月5日・6日の朝日新聞による日本軍「慰安婦」問題についての特集と、それをめぐる一連のメディア報道や政治家の発言などについて要請文を作成し、8月10日に内閣総理大臣、関連する発言をした公人、およびメディア各社に送付しました。
要請文では、朝日新聞が発表したこれまでの「慰安婦」報道の検証結果に対して、メディアや政治家のさまざまな反応について振り返ったうえで、日本政府に求められているのは、「河野談話の作成過程の検証」ではなく、日本軍「慰安婦」制度についての第3次政府調査だと訴えています。第2次調査以降、慰安所の設置や運営、「慰安婦」の移送などについて、研究者や市民によって膨大な数の公文書や証拠文書が発掘されており、これらの検証と、聞き取り調査が進められてきたアジア各国の被害者の証言と目撃者や元兵士の証言を収集し、「慰安婦」制度の実態について更なる真相究明を行うべきだとしており、高齢となった被害女性への聞き取りは最後の機会になるとみています。
要請文は、7月にジュネーブで開かれた国連自由権規約委員会が「慰安婦」問題について日本政府に対して提示した①「慰安婦」被害の訴えについての捜査と加害者処罰、②完全な被害回復、③証拠の開示、④教育、⑤公的な謝罪表明と国家責任の認知、⑥被害者の侮辱や事件の否定への非難、という勧告を紹介し、国際社会が問題視しているのは暴力的な連行の有無ではなく、「被害者の意思に反して行われた」行為だと述べ、これらの勧告にしっかりと対応するよう求めています。
また、朝日新聞を含むメディアに対して、各国・各地で「慰安婦」にされた女性たち(多くは故人)の証言や被害にあった時の状況をさらに丹念に取材し、多くの日本人に伝える努力をするよう求めています。
そして、未解決の戦争被害である日本軍「慰安婦」問題に、真正面から真摯に向き合わなければならない、と結んでいます。
<出典>
【要請文】朝日新聞「慰安婦」報道の検証をめぐる一連の報道に抗議し訴えます(8月10日)
<参考>
河野談話の検証結果が明らかにしたこと、しなかったこと
国連人権高等弁務官、「慰安婦」問題への日本の対応に「深い遺憾」を表明(8月6日)
自由権規約委員会、ヘイトスピーチ、特定秘密保護法などについて勧告