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女性差別撤廃委員会2016年2月の日本審査でとりあげる質問事項を発表-マイノリティ女性に関する質問を中心に

 女性差別撤廃委員会(CEDAW)は2016年2月の審査に向けた会期前作業部会(7月27日~31日)をジュネーブで開き、審査する国の一つである日本政府および日本のNGOとのブリーフィングをそれぞれ個別にもちました。NGOとのブリーフィングには、JNNC(日本女性差別撤廃NGOネットワーク)およびJNNCに参加しているDPI女性障害者ネットワークの代表などが参加しました。それらを基に、2月の審査(正確には、CEDAWと日本政府との対話)でとりあげる問題・課題が絞られ、質問リスト(リスト・オブ・イシュー)として8月初旬に発表されました。
 発表された質問リストは22のパラグラフからなり、制度的な枠組みをはじめ、固定的な性別役割の観念、女性に対する暴力、性的搾取や人身売買、「従軍慰安婦」問題、政治参加、教育、雇用、健康、マイノリティ女性、高齢女性、家族関係など多岐にわたります。
 その中でも、マイノリティ女性および障害をもつ女性を特定的に言及した質問がいくつもあり、委員会の関心の高さがうかがえます。それら質問だけを抽出してひとつにまとめたものを以下にご紹介します。(翻訳:ヒューライツ大阪)
 今回の審査に、ヒューライツ大阪はマイノリティ女性の課題を中心にNGOとして関わっています。11月28日には、関西のマイノリティ女性団体(部落、在日コリアン、そして障害をもつ女性)が集まって開催する集会「国連審査とマイノリティ女性 - 知らんかったら、変わらへん」の事務局も担っています。
 ヒューライツ大阪はCEDAW審査に関する情報を今後も提供していきます。

参照:
7月27日~31日女性差別撤廃委員会が第63会期の事前作業部会を開催―日本報告への質問リストなどを討議予定(ヒューライツ大阪)
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2015/07/7273
163.html

11月28日集会:
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2015/12/post-127.html

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CEDAW List of Issues 
2015年7月30日

マイノリティ女性 障害をもつ女性に関係する部分の抜粋

固定観念と有害な慣行
4. 締約国は、高齢女性、障害をもつ女性、移住女性および民族的、宗教的マイノリティに属する女性など、不利な立場にある集団の女性を含む女性の、男性に支配されないイメージを広めるために、固定観念を克服する包括的な戦略の採択を考えているのか述べてください。メディアにおける女性と男性の役割と責任についての型通りの捉え方をなくしたり、広告における女性の性的な描写をなくすためにとった措置を述べてください。また、前回の総括所見の発表以降、公務員がジェンダー差別や性差別的な発言で起こした事件に関して、また、その状況に対処するために取った措置について情報を提供してください。女性に対する言葉による暴力を防止したり処罰するためにとった措置について述べてください。さらに、マイノリティグループを標的にした性暴力を煽るスピーチも含めたヘイトスピーチの犯罪化を想定した措置について述べてください。

女性に対する暴力
6.過去5年間に出された保護命令の件数とその発令をスピードアップするためにとられた措置に関するデータを提供してください。締約国はDV防止法のもと、一方の側からの申し立てだけを基に緊急保護命令を出すことを考えているのかどうか述べてください。また、DVの女性被害者が自宅に留まる可能性をもつことを保障するために取った措置について述べてください。DVと性暴力の通報を容易にするために取った措置を示してください。とりわけ、締約国はマイノリティ女性および障害女性を含み、女性に対する暴力の被害者からの相談を受けるために、専用の24時間無料ホットラインを開設する意思はあるのかどうか述べてください。

8.マイノリティ女性、先住民女性そして移住女性など不利な条件にある集団の女性を含み、女性たちが苦情を申し立て、保護と救済を求めることができるよう、質の高い支援サービスを提供するためにとった措置について最新の情報を提供してください。また、配偶者の暴力をうけた外国人女性に、在留許可を取り消すことなく保護を提供する法規定について広め、実施を確実にするためにとった措置について述べてください。

教育
13.締約国は、以下に挙げる手段で、マイノリティ女性を含み女性の教育を強化するための具体的な措置を採用したかどうか述べてください:a) 伝統的に男性が支配してきた学問の分野への女性の入学を増やす、b)単科大学、総合大学での女性の比率を高める、c)学校の管理職に就く女性の比率と大学で教える女性の数を増やす、d)教育基本法にジェンダー平等の促進を統合させる。

雇用
14.以下を行うために考えているさらなる措置について述べてください:(a)雇用における男女平等を進めるための包括的な政策の策定、(b)労働市場へのマイノリティ女性の参加の促進、(c)縦軸および横軸での職能分離の撤廃、(d)有期雇用、パートタイムおよび非正規雇用を女性が圧倒的に占めていることへの対処、(e) 妊娠出産を理由にした女性の不当解雇の撤廃、(f) 仕事と家庭の両立ができないことで女性が退職に追いやられることがないようにする、(g)女性と男性の平等な家事負担の促進、(h)男女間での同一労働同一賃金の原則を認める法規定の採用も含めたこの原則の実施の保障、(i)職場におけるセクハラを制裁する法規定の採用、(j)女性が行なっている無償労働の金銭的価値の調査、(k)年金受給におけるジェンダー格差の軽減、そして(l)育児の質の保障。

不利な条件にある女性グループ
20. 高齢女性、移住女性、先住民族を含むマイノリティ女性、障害女性そして農村の女性の、本条約でカバーされているすべての権利へのアクセスに関して最新情報を提供してください。特に、障害女性に対する性暴力に関する情報と、障害女性および高齢女性の虐待の被害者へのシェルター提供のためにとった措置について情報を提供してください。高齢女性や母子家庭の間での高い貧困率を含み、貧困の女性化に取り組むためにとった措置について情報を提供してください。さらに、政策的枠組みの設置や暫定的特別措置の採用を含み、マイノリティ女性に対する差別を撤廃し、意思決定機関にマイノリティ女性の代表を指名するためにとった措置に関する情報を提供してください。

訳:アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)


**質問リストの全文(英語)はこちらに
http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/TreatyBodyExternal/SessionsList.aspx?Treaty=CEDAW

(2015年08月12日 掲載)