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大阪市の「ヘイトスピーチ条例」全面施行‐在日コリアンらが被害申し出(7月1日)
大阪市で「ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が7月1日に全面施行されたのを受け、在日コリアンや弁護士、研究者などでつくる市民グループ「ヘイトスピーチを許さない!大阪の会」(事務局:多民族共生人権教育センター 以下、「大阪の会」)が、大阪市長に要望書を提出するとともに、インターネット上で閲覧できるデモの動画など12件がヘイトスピーチに当たるとして市に申し出を行いました。条例施行されて最初の申し出となります。
4項目の要望書を提出
「大阪の会」が提出した要望書は、(1) 特定の団体・個人の過去の言動などからヘイトスピーチを行うことが明らかな場合、条例が定める「拡散防止措置」として市施設の貸出を拒否するとともに、その旨を宣言すること、(2) ヘイトスピーチを行うことが明らかな街宣、デモ行進について、条例が定める「拡散防止措置」として警察への取り消し要望を行うこと、(3) 1月18日に条例の一部が施行されて以降、これまで行った市民向けの啓発活動の内容と回数を明らかにするとともに、今後一層啓発に努めること、(4) 「ヘイトスピーチ解消法」と条例に基づき、人権啓発に関わる部局の職員、および私有施設の指定管理者に対して、適切な対応をとるために必要な研修を行うこと、の4点です。
「大阪の会」は、市に対して内容の検討と、7月末までに返答するよう求めています。6月30日に大阪府警にも同様の要望書を提出しています。
被害の申し出
「大阪の会」はまた、条例に沿って、インターネット上で7月1日現在閲覧できるデモの動画、ツイッター、ブログなど12件がヘイトスピーチにあたるとして、大阪市に被害を申し出ました。
動画は2013年2月から3月にかけてJR鶴橋駅周辺で行われたヘイト街宣も含まれています。また、4件については投稿者2人と1団体の名前も判明しています。
ヘイトスピーチに該当するかどうかは、法学者や弁護士ら有識者5人から成る審査会が審査し、相手側の意見を聞くなどして調査します。答申を受けた市長がヘイトスピーチであると認定すれば、発言の概要や個人・団体名を公表します。また、条例施行前のデモや投稿であってもネット上に残っていれば対象となり、大阪市としてプロバイダーへの削除要請などが行われます。
大阪市は7月中に審査会を開き、今回の申し出について認定の可否の審議に入りますが、判断に至るには数カ月かかるもようです。
<参考>
「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」について(大阪市)
ヘイトスーチに反対する市民団体が大阪府警に要望書を提出(6月30日)ヒューライツ大阪
大阪市(右側)に要望書を提出する「ヘイトスピーチを許さない!大阪の会」代表の宋貞智さんたち