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主要銀行グループが国連指導原則について2つ目のディスカッションペーパーを公表

 世界有数の銀行がメンバーとなっているトゥン・グループは、2017年1月25日に国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の原則13および17に関するディスカッションペーパーを公表しました。

 トゥン・グループは、2011年にスイスのトゥンにおいて、銀行の文脈における指導原則について開催された会議に始まり、2013年には指導原則の原則16-21について最初のディスカッションペーパーを公表しています。2回目となる本ペーパーでは、取引関係の事業、サービスなどに直接つながる人権への負の影響を防止・軽減するという原則の第13bの解釈と、デュー・ディリジェンスに関する第17をとりあげています。

 本ペーパーは2013年のペーパーで述べられたように、取引先の引き起こす負の影響の特定、防止、軽減ができるよう、指導原則に基づいて、人権侵害のリスクのある場合のデュー・ディリジェンスの要件を含む、環境および社会的リスクマネジメント方針および手続きをつくることを勧めています。

 原則第13について、本ペーパーは、銀行の取引先の事業によって引き起こされた人権への負の影響について直接つながるとみなされた事例があることをあげ、銀行の取引関係における人権に関連するリスクを図る重要な要素として、負の影響へのつながりの直接性、または影響への近接性(proximity)をあげています。

 近接性の度合いは銀行の提供する金融商品、サービスによって決まり、また、取引先の事業内容や事業地の法制度などに左右される人権への影響のリスクによって、デュー・ディリジェンスのレベルも決まります。たとえば、プロジェクト・ファイナンスなど特定の資産金融を提供した資産において人権侵害が起こった場合には高度の近接性をもつ直接のつながりがあると考えられ、人権への負の影響の懸念がある場合には、それを防止・回避するよう努めなければならないとしています。

 負の影響と直接つながっている場合、本ペーパーでは銀行は防止・軽減のためにレバレッジ(影響力)を使うことが期待されるとしています。銀行はデュー・ディリジェンス手続きよって人権侵害のリスクの可能性を調査し、取引または関係の是非を検討し、または条件を付すことができるとしています。一方、そのことによって、近接性や負の影響の因果関係が変化することはなく、影響の責任は取引先にあるとしています。また、銀行の商品やサービス自体が人権侵害につながっていない場合でも、取引関係の性質によって銀行は取引先に積極的に働きかけ、状況改善に取り組むこともできるとしています。

 (構成:岡田仁子)

(参照)

(2017年02月06日 掲載)