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第37回国連人権理事会、シリアの人権状況、マイノリティの権利など42決議を採択(2018年3月)

 第37回人権理事会は、2018226日に国連事務総長に続き各国閣僚などが発言するハイレベル会合で始まり、323日の閉会までにシリアの人権状況に関する決議など42の決議が採択されました。
 
シリアの人権状況
シリアの東グータ地区において、甚大な被害が起きていることについて、理事会は32日に緊急の討議を開催し、5日には、独立調査団に調査を要請する決議が採択されました。討議の冒頭、ゼイド国連人権高等弁務官は、同地区が長期にわたり空爆や砲撃を受け、支援物資が十分届かず、多くの人が亡くなっていると述べました。また、2月に30日間の時限的停戦を呼びかける安全保障理事会決議2401が採択されたにもかかわらず、砲撃などが続いていると述べ、戦争犯罪、人道に対する罪の可能性があると指摘しました。一方、シリアはこの問題を人権理事会で討議することについて、反対する旨を発言しました。
採択された決議は、調査団への要請のほか、シリアにおける人道法違反や重大な人権侵害、医療施設などへの攻撃、非戦闘員の市民に対する無差別攻撃を非難し、安保理決議2401を歓迎すること、そしてすべての紛争当事者、特にシリア政府当局に対して、国連などの人道支援関係者が現場へのアクセスを妨げられないことなどを要求しています。
特定の国の人権状況に関して、そのほか、北朝鮮、南スーダン、ミャンマー、イランなどについて決議が採択されました。
 
持続可能な開発アジェンダ2030
2015年の国連持続可能な開発サミットで採択され、持続可能な開発目標(SDGs)を掲げた「持続可能な開発アジェンダ2030」に関連して、理事会は、人権の保護とアジェンダ2030の実施が相互に関連し、強化し合うことを確認し、2019年、2020年の「持続可能な開発に関する国連ハイレベル政治フォーラム」のテーマを中心に、人権とアジェンダ2030について対話と協力に関する、各国政府、国連機関、地域機関、国内人権機関、市民社会組織などによる討議を開催することを決議しました。2019年のフォーラムのテーマは「人々のエンパワメントと包摂性と平等の確保」です。
 
マイノリティの権利
今会期、20178月に任命されたマイノリティ問題に関する特別報告者のフェルナンド・ドゥ・ヴァレンヌさんが、2017年の活動や、任期中にとりあげる課題などをあげた報告を提出しました。特別報告者はそのなかで、1130日と121日にマイノリティ・フォーラムがマイノリティの若者をテーマに開催されたことをとりあげ、マイノリティの人たちが主張し得る重要な国際的な場であることを強調し、各国にフォーラムへの支援を要請しています。
また、任期中に、カーストや部落差別など、継承される地位に基づく差別や排除、言語的マイノリティとしての聴覚障害のある人々、ロマの人々などに関する前任報告者のリタ・イザック・ンジャエさんの作業を継続し、当事者コミュニティとの協議を行っていくこと、無国籍や市民権の否定の問題、紛争とマイノリティの権利との関係、ヘイトスピーチなどのマイノリティに対する憎悪の扇動の問題、およびマイノリティ言語の教育を含む、教育の分野について、優先的に取り組むことを述べています。
また2017年は「民族的、宗教的、および言語的マイノリティに帰属する者の権利に関する宣言」の25周年であったが、2017年の人権高等弁務官事務所の活動を中心とした、マイノリティの権利に関する人権高等弁務官年次報告も今会期に提出されました。
理事会は、特別報告者および人権高等弁務官報告に留意し、各国に、201712月のマイノリティ・フォーラムの提言を受け入れるよう促し、マイノリティ権利宣言にあげられる権利を実施できることを、マイノリティに帰属する人の参加の下で確保するよう呼びかける決議を採択しました。なかでもマイノリティの若者が、同じ質の教育を平等に受ける権利、自分たちの言語を学ぶ、あるいは公用語と共に自分たちの言語で学ぶ機会、マイノリティの若者の意思決定の場や経済活動への参加などのための適切な措置をとるよう促しています。
 
その他、理事会は、ジェノサイド条約の70周年にあたり、第39会期にハイレベル・パネルを開催することを決め、ジェノサイド条約の未批准国に批准を呼びかける決議、人権に考慮した薬物問題への実効的な取り組みに関して人権高等弁務官に報告作成を要請する決議などが採択されました。また、日本を含む、201711月のUPR作業部会の審査の報告が採択されています。
最終日、閉会にあたり議長は、国連に協力した、または協力しようとした人たちに対する威嚇や報復の行為について報告があったと述べ、人権理事会は政府または非政府の行為者によるそのような行為すべてを非難すると強調し、各国にそのような行為からの十分な保護を確保するよう求めて締めくくりました。
(構成・岡田仁子)
 
<出典>
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RegularSessions/Session37/Pages/ResDecStat.aspx
Resolutions, decisions and President’s statements, 37th Session of the Human Rights CouncilOHCHR (英語:第37会期人権理事会の決議・決定・議長声明など)
http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/Pages/NewsDetail.aspx?NewsID=22898&LangID=E Human Rights Council concludes thirty-seventh session after adopting 42 resolutions, including on Eastern Ghouta in Syria, Press Release, OHCHR
(英語:第37会期に関するプレスリリース)
<参考>
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section4/2018/03/3upr201831.html

「日本政府、第3UPRの勧告に対して見解を発表」ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ(20183月)

(2018年04月05日 掲載)