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外国人労働者の受入れ拡大に向けた入管法改定案の審議始まる(11月13日)
外国人労働者の受入れ拡大に向けて、新たな在留資格「特定技能」を盛り込んだ出入国管理法(入管法)の改定案が、11月13日の衆議院本会議で審議が始まりました。政府は、2019年4月から実施する方針で、今国会(10月24日~12月10日)での成立をめざしています。
改定案は、政府が指定する業種で日本語や技能について一定の能力が認められる労働者を対象に新設する「特定技能1号」「同2号」のもとで受入れるというものです。1号は一定の知識や技能があることを要件とし、在留期限は通算5年を上限とし、家族の帯同(同伴)は許可されません。2号は熟練した技能を持っていることが要件で、家族を帯同することができ、条件を満たせば永住資格の取得も可能となります。日本語能力については、いずれの資格も生活に支障のない会話ができることとしています。
対象業種は、「人材を確保することが困難な状況にある分野」とされ、現時点であげられているのは、1号は介護、ビルクリーニング、建設業、農業、漁業、造船・舶用工業、宿泊業など14業種です。一方、2号は建設と造船・舶用工業の2業種に絞られる方向で議論が行われています。
技能実習制度の廃止と移民政策を
「特定技能1号」については、多くが技能実習制度から移ってくることが想定されています。しかし、技能実習制度のもとでの現行77職種139作業がどんな基準で「特定技能1号」につながっていくのか明らかになっていません。
技能実習制度では、長時間労働と違法な低賃金、賃金不払い、労働災害のもみ消し、強制帰国などさまざまな人権侵害が長年にわたり横行しています。それらの問題の根本的な解決が放置されたまま、技能実習制度に「特定技能」を接ぎ木するような政府の方針に対して、移住者の権利擁護の見地から批判や提言が出されています。
国会では、政府案に対して野党がさまざまな疑問や見解を投げかけていますが、市民社会からも声があがっています。日本弁護士連合会は11月13日、入管法改定案などに対する意見書を発表し、技能実習制度の廃止、新たに受入れる労働者の権利保障、共生政策、国際人権基準に基づく出入国在留管理行政の実現などを提言しています。また、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワークは10月25日、政府に対して包括的な移民政策を求める意見書を公表しています。
<参考・出典>
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(衆議院)
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案 に対する意見書 (2018年11月13日 日本弁護士連合会)
「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』改定案の骨子」に対する意見 -今こそ、包括的な移民政策を!(2018 年 10 月 25 日 NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク)