ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします
2018年人種差別撤廃委員会の総括所見採択1年‐日本政府がフォローアップのコメント提出(2019年9月)
国連人種差別撤廃委員会は、2018年8月16日と17日に人種差別撤廃条約の実施状況に関する日本の第10回・第11回定期報告の審査を行い、多くの懸念や勧告を盛り込んだ総括所見を8月28日に採択しました。
総括所見のなかで、国内人権機関の設置に向けた取り組み(パラグラフ10)および技能実習制度の適正化を目的に2017年11月に整備された技能実習法の実施状況(パラグラフ32)の2課題に関して、1年以内にフォローアップ情報を提供するよう求めていました。
それを受けて、日本政府は2019年9月3日付で同委員会に対して、日本政府コメントとして情報を提出しました。
国内人権機関に関しては、人種差別撤廃委員会はパリ原則に基づく政府から独立した人権機関を設置するよう勧告を繰り返していますが、近年、日本政府は具体的な検討をしていないことから、従来からの報告と同じ内容の法務省人権擁護局の規模や役割の説明、および相談件数などを列挙するというコメントにとどまっています。
技能実習法の実施状況に関しては、同法に基づき外国人技能実習機構が2018年12月末までに監理団体2,000件弱、受け入れ企業(実習実施者)5,000件以上に実地検査を行い、1,400弱の違反事業者に対して改善勧告を出したことなどを報告しています。
また、法務省および厚生労働省は技能実習生の送出し国政府とのあいだで二国間取決め(2019年4月現在、13カ国と)を交わし送出し機関の適正化にも努めているとしています。
さらに、2018年11月に法務省内に「技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム」を設置し、2019年3月に「調査・検討結果報告書」をまとめて公表した旨を報告しています。
政府は、1年以内のフォローアップ情報の提供を特に求められていなかったアイヌ民族の権利(パラグラフ15・16)、DV被害の外国籍女性の在留資格取消しへの懸念(パラグラフ25・26)、低い難民認定率、および庇護申請者の就労、収容、保護措置(パラグラフ35・36)に関する勧告についても施策に関する説明を行っています。
<出典>
人種差別撤廃委員会の総括所見(CERD/C/JPN/CO/10-11)に対する日本政府コメント(2019年9月5日)外務省(仮訳、英語正文)
Information received from Japan on follow-up to the concluding observations(2 September 2019)CERD
<参考>
2018年人種差別撤廃委員会「日本の第10回・第11回定期報告に関する総括所見」翻訳
技能実習制度の運用に関するプロジェクトチーム「調査・検討結果報告書」について
(2019年3月29日 法務省)