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市民団体、国連「恣意的拘禁作業部会」の日本訪問受け入れを政府に求める共同声明(1月20日)

 全国難民弁護団連絡会議、移住者と連帯する全国ネットワーク、監獄人権センターなど入管収容、精神医療、刑事拘禁の問題に取り組む弁護士や市民による10団体が1月20日、日本政府が国連の「恣意的拘禁作業部会」による日本への訪問調査を直ちに受け入れ、勧告が出された際は、勧告に従い国内の恣意的拘禁をめぐる人権侵害を解決するよう求める共同声明を発表するとともに、外務省に要請を行いました。
 「恣意的拘禁作業部会」は、国連人権理事会の特別手続きに基づき、特定の国や地域における人権状況や、テーマ別に人権状況について調査、報告、勧告などを行う特別報告者や独立専門家と並ぶ人権システムのひとつです。
 日本は、「恣意的拘禁作業部会」からの国別訪問手続きの要請を少なくとも2015年4月と2018年2月の二度にわたり受けているにもかかわらず応じていません。
 共同声明によると、現在、日本では入管収容、刑事拘禁、精神医療の分野において恣意的拘禁にかかる人権侵害が深刻化しており、これらの人権侵害は、いずれも国際人権基準に違反するものであると指摘しています。これまで国連人権理事会および人権条約機関からも再三にわたり、人権侵害を是正するよう勧告が出されているにもかかわらず、改善が見られないどころか、近年、人権侵害が悪化の一途を辿っているとしています。
入管収容の分野では、収容/釈放(仮放免等)に関して司法審査が行われず、無期限の収容期間となっていること、難民申請者など収容の必要性がない者まで収容されており、ここ数年は収容期間の長期化が顕著となり、被収容者の健康状態の著しい悪化が危惧されていること、さらに2019年6月に大村入国管理センター内でナイジェリア国籍者が餓死したケースなどを列挙しています。
刑事拘禁の分野では、警察留置と未決拘禁に関して、代用監獄の存続と長期間・長時間にわたる警察取調べの継続、取調べにおける弁護人立ち会いの否定、起訴前の保釈制度の不在、不明確な罪証隠滅を理由とする勾留の容認、裁判所による家族友人との外部交通を禁止する接見禁止処分の容認、施設内医療の不在、社会的な活動を不可能にする過酷な保釈条件といった人権侵害が起きていると報告しています。
2019年3月と5月には、会社法違反(特別背任)などの容疑で逮捕・起訴された日産自動車前会長カルロス・ゴーン氏の家族が、長期勾留および保釈条件について「恣意的拘禁作業部会」に対して通報を行いました。さらに、2019年7月、恐喝未遂罪・業務妨害罪などの容疑で延べ77人が逮捕・起訴された全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の一部組合員らが、労働権侵害の不当勾留および長期勾留について同作業部会に対して通報を行っています。
精神医療の分野では、広汎に認められる強制入院の要件、自由剥奪についての司法判断の欠如、患者の権利救済手続の不備、入院を回避する代替手段の不備による不必要な入院の長期化などが恣意的拘禁を生み出している、と指摘しています。
 
 日本は、2017年から国連人権理事会の理事国を務め、2019年10月に再選されたことから、2020年1月から3年間、理事国を務めることとなります。共同声明は、理事国である日本が、人権理事会の「恣意的拘禁作業部会」からの見解や人権条約機関からの勧告を無視することは許されず、見解や勧告を真摯に受け止め、近年、特に悪化の一途を辿る日本の入管収容、刑事拘禁、精神医療の各分野における拘禁の問題に積極的に取り組み、人権侵害状況を改善することが求められる、と訴えています。
 
<出典>
https://migrants.jp/news/voice/20200120_3.html
「国連の恣意的拘禁作業部会による国別訪問手続 (カントリー・ビジット)を直ちに実現するよう求める共同声明」を発表しました(移住者と連帯する全国ネットワーク)
https://migrants.jp/news/voice/20200120_4.html
Joint Statement to Urge the Japanese government to immediately accept the Country Visit by The UN Working Group on Arbitrary Detention(Solidarity Network with Migrants Japan)
 
<参考>
https://www.ohchr.org/EN/Issues/Detention/Pages/WGADIndex.aspx
UN Working Group on Arbitrary Detention

(2020年01月21日 掲載)