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米国務省の「2020年人身取引報告書」、日本は第2階層へと評価引き下げ(6/25)
米国務省は6月25日、世界の人身取引(人身売買)に関する年次報告書「2020 Trafficking in Persons Report」を発表しました。これは、米国が2000年に制定した「人身取引被害者保護法」(TVPA)に基づく人身取引に関する米国の国際的な取り組みとして2001年以来まとめている報告書で、今回は20回目を数え、188カ国が対象となっています。
日本については、とりわけ外国人技能実習制度および援助交際やJKビジネスをはじめとする児童買春の問題に着目し、「当局の取り組みは、近年と比べると真剣さや継続性に欠ける」として、2018年と2019年にランク付けられた4段階のうち最も良い第1階層から、第2階層へと評価が引き下げられました。
人身取引の摘発や加害者を訴追した件数が前年より減ったことが引き下げの理由のひとつです。また、これまでも技能実習制度に関して、強制労働の問題が継続して取り上げられているにもかかわらず、当局は人身取引として一件も認定していない、と報告書は述べています。さらに、加害者に対する刑罰が軽く、執行猶予や罰金刑のケースが多いと指摘しています。
報告書は、性的搾取および労働搾取を伴う人身取引事案を積極的に捜査・起訴し、加害者により重い刑罰を科すことを勧告しています。また、技能実習制度をはじめ、その他の査証で日本に入国した者、入管収容所に収容されている者も含め、強制労働の被害が認定され、保護・支援につながるよう、関係省庁間で標準的な手続を策定・体系化し、実施することなど数多くの取り組みを勧告しています。
日本は、第2階層の要監視リスト(下から2番目)に位置付けられた2004年の12月にはじめて「人身取引対策行動計画」を策定しました。その後、2005年から2017年まで第2階層でした。
日本政府は現在、2014年に改定された「人身取引対策行動計画2014」に基づいて、法務省、警察庁、厚生労働省、外務省など関係省庁で構成する人身取引対策推進会議のもとで取り組みを行っています。
<出典>
2020 Trafficking in Persons Report (米国務省)
<参照>
人身取引対策推進会議(首相官邸)