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過密な寄宿舎で新型コロナウイルス感染にさらされる移住労働者―シンガポール
シンガポールの2020年8月末時点での約57,000人の新型コロナウイルス感染者の大部分は、建設や造船の分野で働く南アジア諸国などからの移住労働者が占めています。その大半は、専用の寄宿舎に住んでおり、一部屋に10人以上が詰め込まれるといった過密状態におかれ、衛生状態もよくありません。その結果、新型コロナ感染症の温床となってきました。
寄宿舎で感染が大量発生した事態を受けて、政府は約2カ月間の隔離を実施し、労働者が職場に行くことを禁止しました。そして、寄宿舎に住む労働者に対する厳格な検査や、安全対策、および陽性者の隔離を行ってきました。
政府は8月19日、寄宿舎に住むすべての労働者はウイルスに感染していない、あるいは回復したと発表しました。寄宿舎の安全確認と同時に、建設会社などの操業再開が許可され、労働者は8月下旬をめどに徐々に現場に復帰することが可能になりました。
一方、第2波の大規模感染を防ぎ安全に就労することを確保するため、政府は、寄宿舎に住み、建設や造船の現場で働く労働者に対して14日ごとに定期検査(綿棒検査)を受けることを義務付けています。それを怠ると仕事を続けることができなくなります。
しかし、そのような厳格なチェック体制にもかかわらず、9月2日、ある寄宿舎で検査したところ、23人が陽性者というクラスターが発生しました。
政府は寄宿舎の設置基準をさらに厳しくする方針です。しかし、安全対策を十分に整えるためには数年を要すだろうといわれています。
(構成:坂本和歌子・ヒューライツ大阪インターン)
<出典>
Ministry of Health (シンガポール保健省)
Ministry of Manpower (シンガポール人材省)
<参照>
Aug 19, 2020, Straitstimes
AUG 19, 2020, Straitstimes