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経済産業省「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」の策定に対してステークホルダーが合同コメント(緊急要請)(9/2)

 経済産業省が2022年3月から策定を始め、8月8日から29日までパブリックコメントが実施されていた「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」に関し、「ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議及び同作業部会構成員賛同者」が、9月2日に「ステークホルダー合同コメント(緊急要請)~日本政府「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」について~」を「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」宛に提出しました。このガイドラインの策定は日本政府のビジネスと人権に関する行動計画の実施の一環であることから、同推進・連絡会議宛に提出されたものです。
 合同コメントでは、ガイドラインの「プロセスにおいてステークホルダーとの有意義な協議を経て正当性を担保することが極めて重要」であるにもかかわらず、その協議が不十分であったとして、①パブリックコメントに出された意見を十分に踏まえて協議し、議論を尽くすこと、②ガイドラインの普及、モニタリング、改定においてもステークホルダーと協議し、実質的な協働の上、実施すること、③ガイドラインの推進を含むNAPの実施、検証、改定プロセスにおいて、現状の政府の施策や企業の取組みのギャップの分析をステークホルダーの参加のもとに行うこと、の3点を求めています。以下はその全文です。

ステークホルダー合同コメント(緊急要請)
~日本政府「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」について~

内閣官房 ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る
関係府省庁施策推進・連絡会議 御中

令和4(2022)年9月2日

ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議及び同作業部会
構成員賛同者

 令和4(2022)年8月8日、日本政府は、経済産業省において、「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン(案)」(「本ガイドライン」)を策定・公表し、意見公募(パブリックコメント)手続を開始しました。私たちは、本ガイドライン案によって、国際スタンダードに沿った企業の人権尊重に向けて、日本政府としての具体的なメッセージが示されたことを歓迎します。
 本ガイドラインの策定は、ビジネスと人権に関する行動計画(「NAP」)の優先分野である国内外のサプライチェーンにおける企業の人権尊重の取組を促すための重要な施策と位置付けられます(「本ガイドライン」1.1)。本ガイドラインが企業に対し人権尊重の取組全体を通じてステークホルダーとのエンゲージメント(協議)を促すものであるからこそ、その策定プロセスにおいてステークホルダーとの有意義な協議を経て正当性を担保することが極めて重要です。それにもかかわらず、本ガイドラインの策定が、NAP実施におけるステークホルダーとの間の信頼関係に基づく対話のために設置された円卓会議及び作業部会との協議をほとんど経ることなく、パブリックコメントに至るまでの間はほぼ非公開の手続で進められていることは問題と言わざるを得ません。ステークホルダーの意見が十分に反映されていないガイドラインは、国連指導原則に則した人権尊重の取組みに資することになりません。

以上を踏まえ、私たちは日本政府に対し、以下の事項を要請します。

  1. パブコメをふまえた協議:パブリックコメントを包摂的に検討し、円卓会議及び作業部会において、本ガイドラインが国連指導原則、OECD企業行動指針、ILO多国籍企業宣言という3つの国際スタンダードに整合的でかつ企業による人権尊重が効果的に促される内容となるよう、議論を尽くすこと
  2. 策定後の協働:本ガイドラインの普及、効果のモニタリングおよび将来の改定について、円卓会議及び作業部会を含むステークホルダーと協議し、実質的に協働の上、実施すること
  3. ギャップ分析の実施:本ガイドラインの推進を含むNAPの実施やその検証・改定プロセスの中で、日本社会及び企業が関わる負の影響を特定・評価した上での現状の政府の施策や企業の取組みのギャップの分析をステークホルダーが参加する形で行うこと。このようなギャップ分析をふまえた政府の施策は、企業が人権課題を適切かつ具体的に特定・評価・対処し、本ガイドラインを効果的に実践するための環境整備の観点からも不可欠です。

 来年は日本が議長国となるG7が開催されます。国際スタンダードに沿った企業行動を推進する世界潮流にこれ以上後れることなく、人権の保護・尊重・救済においてG7でのリーダーシップを発揮するために、いま政府とステークホルダーが協働でアクションを起こすことが必要です。「ビジネスと人権の次の10年に向けたロードマップ」でも示されている通り、ステークホルダーとの信頼関係に基づき、より成熟した形で、本ガイドラインの策定と実施、さらにNAPの実施、モニタリング、改定がなされることを望みます。

<合同コメントPDF>(賛同者一覧が添付されています)

<参考>


(2022年09月03日 掲載)