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イスラエルによるパレスチナ占領政策は国際法違反、国際司法裁判所の勧告を「歴史的」と専門家らが評価(7/30)

 2024719日、国際司法裁判所はイスラエルによるパレスチナの占領政策について国際法違反であるとの判断を示し、イスラエルに対し可能な限り速やかな占領状態の終結、入植活動の即時停止とすべての入植者の撤退、および占領政策によって引き起こされた被害への賠償の義務があると勧告しました。

 また、各国に対してイスラエルのパレスチナ占領政策に関する現状維持につながる援助や協力の提供を行わないよう呼び掛けるとともに、国連、特に国連総会および安全保障理事会に対して、パレスチナにおけるイスラエルの違法な占領を可能な限り速やかに終わらせるために必要な行動をとるよう求めています。

 国際司法裁判所の勧告を受け、7月30日に、国連特別手続きに基づくテーマごとの特別報告者や作業部会など独立した専門家たち30名以上からなる共同声明が出されました。

「国際司法裁判所の勧告は、併合、入植、人種隔離、およびアパルトヘイトを禁ずる確固たる規範を再確認する宣言の性質を有しており、イスラエルと占領を支持するすべての国を拘束するものとみなされるべきである」と専門家たちは述べています。

 専門家たちは、オスロ合意以降も30年以上にわたってパレスチナ人に暴力と追放を強いてきた、〈パレスチナ人の自決権の実現はイスラエルとの二国間交渉によってのみ達成されなければならない〉という観念を国際司法裁判所が退けたことに触れ、「外国による軍事占領、人種隔離、そしてアパルトヘイトからの自由に交渉の余地はないという、国連にとってすら揺らぎをみせてきた原則が国際司法裁判所によってついに再確認された」と評価しています。

 また、専門家たちは、イスラエルがパレスチナ人に住宅建築の許可を与えず、家屋を取り壊し、土地を強奪することを通じて占領を併合へと転換させてきたことが、占領地併合のための武力行使を禁止する強行規範(ユス・コーゲンス)[1]に違反するという国際司法裁判所の認識を歓迎しました。

 「この歴史的な判決によって、パレスチナ人の自決に対する基本的な権利と、すべての人の自由を前提とした平和の実現をもたらすことを願う」と専門家たちは述べます。

 専門家たちは、今回の勧告より20年前に、同裁判所がイスラエルによるヨルダン川西岸地区に建設した分離壁について国際法違反であると判断をくだしていたにも関わらず、イスラエルおよび国連加盟国によってほとんど無視され、不処罰がまかり通ってきたと指摘しています。そして今回の勧告以降、ガザの人びとと資源に対するイスラエルの攻撃が激化しているとし、「イスラエルは、みずからが法の上にあるかのように振る舞うことを止めなければならない」と批判しています。

 専門家たちは各国に対し、ビジネスと金融、年金基金、学術界、慈善事業を含む、イスラエルとのすべての外交的、政治的、経済的関係を直ちに見直すよう呼びかけ、さらに武器の禁輸、パレスチナ人に損害を与えうるすべての商取引の停止、そして違法な占領および人種隔離、アパルトヘイト政策に関与するイスラエルの個人や団体に対する資産凍結を含む制裁を求めています。

 「イスラエルが国際秩序と国際法の規範的枠組みを嘲笑する一方で、パレスチナ人はあまりにも長い間、現実政治(realpolitik)の人質となってきた。国際司法裁判所の勧告が、国際法の尊重にもとづく国際秩序を回復し、維持するための新たな国際的な行動のきっかけとなることを願う。」

参照
Experts hail ICJ declaration on illegality of Israel's presence in the occupied Palestinian territory as "historic" for Palestinians and international law
https://www.ohchr.org/en/press-releases/2024/07/experts-hail-icj-declaration-illegality-israels-presence-occupied

7月19日の勧告に関する国際司法裁判所によるプレスリリース[英語]
https://www.icj-cij.org/sites/default/files/case-related/186/186-20240719-pre-01-00-en.pdf


[1] 国際法上、絶対に破ることのできない規範とされ、ウィーン条約法条約は強行規範に違反する条約は無効であると規定している。

(2024年08月02日 掲載)