日本は、子どもを含む女性の人身売買(trafficking in persons)の「受入れ大国」だと国内外のNGOから長年指摘されてきているにもかかわらず、加害者の取締り、防止策、被害者の保護に関してほとんど 対策がとられてこなかった。それどころか、脅迫や強制、詐欺的な手段などによって自由を奪われた状態で性産業に従事させられている女性たちは被害者であり ながら、入国管理法や売春防止法違反などで処罰や強制送還の対象となってきた。
近年、国連や国際労働機関(ILO)をはじめとする国連機関や、NGOなどによる国際社会における人身売買の撤廃に向けた取り組みが活発になってきてい る。「国連国際組織犯罪防止条約」の議定書である「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及 び処罰するための議定書」(外務省仮訳)が03年12月に発効する(日本は同議定書に署名済みだが、批准はまだ)のもその大きな流れのひとつとなる。
そうしたなか、これまで女性や外国人の人権擁護に取り組んできた日本のNGOや法律家、研究者などが連携して、10月18日と19日にかけて東京で開催し た「人身売買禁止法実現のための国際ワークショップ」を契機に、「人身売買禁止ネットワーク」(JNATIP)を設立した。
同ネットワークは、日本における人身売買の実態を明らかにし、防止、被害者の救済・保護、加害者の処罰を盛り込んだ「人身売買禁止法」(仮)制定のため の活動、および市民社会における啓発活動などを行う計画である。ネットワークでは、個人や団体による参加および寄付を募っている。
ネットワークの事務局は、京都YWCA APT気付。
(Tel:075-431-0351, Fax:075-431-0352, E mail:jnatip@pg8.so-net.ne.jp)
(2003年10月18日 掲載)