3月3日の読売新聞が 報じるところによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、6月のASEAN外相会議(ジャカルタ)で人権憲章の起草が承認される見通しとなった。現在 のASEANは、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10カ国で構成され るが、これまで「加盟国の内政不干渉の原則」を掲げ、ミャンマー民主化など域内の人権問題への「取り組み不足」が国際社会から批判されてきたが、現 ASEAN議長国のインドネシアが、2月の高級事務レベル会合で加盟国に「人権憲章」づくりを提案したという。
構想されている「人権憲章」は、2006年から起草し2年以内に条文を完成させて採択を目指し、実施機関の「ASEAN人権委員会」も創設し、具体的懸案 に対応できるようにする構想とされている。ASEAN人権委員会やASEAN人権裁判所の設立は、1998年に設立されたWorkshop on the ASEAN Regional Mechanism on Human Rightsなどが早くから提唱してきたが、近年、APF(アジア・太平洋国内人権機関フォーラム)の活動が発展する中、ASEANの中でも国内人権機関を設置する国が増え、地域的な人権保障のメカニズムをつくる機運が盛り上がってきたともいえる。
(2004年03月03日 掲載)