5月27日、開催中の第159回国会において、改正配偶者暴力防止・被害者保護法(DV防止法)が成立しました。DV防止法は2001年に制定され、被害 者は自分の身辺や住居、勤務先などの接近禁止や住居からの退去を配偶者に命じる保護命令を裁判所に求めることができるようになりました。
今回の改正では、「配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する」という国および地方公共団体の責務が「防止するとともに、被害者の自立を支援することを 含め、その適切な保護を図る」とされました。また、国にはそのための施策の基本方針を作成し、各都道府県はその基本方針に則してその責務を実施する基本計 画を作成することが義務づけられました。
さらには、「暴力」の定義に「生命または身体に危害を及ぼす」ものだけでなく、「心身に有害な影響を及ぼす言動」が加えられ、精神的な暴力も含められまし たが、保護命令の対象とはされませんでした。また、接近禁止の保護命令の対象も、婚姻中の被害者本人だけでなく、子どもや、離婚後の元配偶者にも拡大され ました。また、住居からの退去命令もその期間を2週間から2カ月に延長されるなど、現行法が実施される中で指摘されていた問題点への対応が含まれていま す。
また、現行法について、外国籍や障害をもつ人に対する保護が欠けている、と指摘されていましたが、被害者の保護、捜査、裁判などに職務上関係するものが、 被害者の人権を尊重するとしていた規定を、被害者の「国籍、障害の有無を問わず」その人権を尊重するとして、明示に職務関係者に対して配慮義務を課してい ます。
→国会に提出された法案
(2004年06月02日 掲載)