韓国国家人権委員会は(以下委員会)、去る8月23日に全体委員会を開催し1948年12月に公布施行された国家保安法(56年間に7度改正)の廃止勧告 を法務省と国会に対して行ないました。委員会では国家保安法を主要な懸案事項の一つとし、タスクフォースチームを組織して、歴史的経過、実態調査、法的側 面などから検討しました。
この法律は、国家の安全を確保するために反国家活動を規制することを目的として作られましたが、日本の植民地時代の治安維持法を原型としており、制定当初 から人権侵害の素地があるとして国会でも論議を呼びました。委員会の結論として、この法律が恣意的に適用され人権侵害を引き起こしてきた歴史があり、また 法律の規定そのものが表現の自由を侵害するなどの人権侵害を起こしかねないことから、今後も論議は止まないという判断のもとで、こうした問題点を解決する には廃止以外にはないとしています。また対北朝鮮との関係の変化や国際社会での世論など時代の趨勢を受け止めるべきだと指摘しています。
「国家保安法撤廃国民連帯」などの市民団体は、同法が思想・良心の自由、表現の自由など民主社会の基本を侵害する反人権法であるとし、この勧告に対し歓迎の声明を出しています。
9月1日から始まった韓国の第17代定期国会では、同法の処理をめぐって全廃から一部改正まで与野党の議員の間で意見の対立があり、今国会での論争が予想されています。
http://www.humanrights.go.kr/ (韓国語)
(2004年09月04日 掲載)