第61回国連人権委員会(リンク先は英語)が3月14日から4月22日までジュネーブの国連欧州本部で開催されています。人権委員会は53カ国の政府代表で構成され、様々な人権に関するテーマ、特定の地域の人権状況に関して議論を行い、決議を採択しています。
14日、委員会は人種主義、人種差別、外国人排斥および関連する不寛容の現代的形態を煽る特定の行動に対して懸念を表明する決議を採択しました。世界の各 地でネオ・ナチなどの人種差別的な政党や集団が各地で事件を起こしていることをあげ、ナチスの美化や人種主義的な行動を阻止する措置をとる必要性を強調し ました。
また、同日、北朝鮮の人権状況について、拷問、公開処刑、移動、信仰、表現などの自由の制限など同国の深刻な人権侵害について懸念を表明し、同国政府に対 し直ちに制度的な人権侵害を廃止し、国際的な労働基準の遵守、拉致問題の早急で明快な解決、特別報告者および国連人権高等弁務官事務所、他の国際機関など と協力することなどを勧告する決議を採択しました。また、北朝鮮の人権状況に関する特別報告者の任期を1年延長しています。
この他、特定国に対する決議として、ミャンマー、キューバ、ベラルーシに対しても決議が採択されています。一方、特定国の人権状況に関する決議は人権を協議する場に政治を持ち込むものだという非難も表明されています。
19日には、国際人権法の深刻な侵害、および国際人道法の重大な侵害の被害者に対する救済および補償に関する基本原則およびガイドラインに関する決議を賛 成40、棄権13で採択しました。この原則は、各国にそれぞれが拘束される国際人権法および人道法を尊重および尊重を確保、実施し、侵害防止の立法、行政 などの措置をとるよう求めています。また、司法への平等で実効的なアクセス、十分で実効的な補償、侵害や補償の制度に関する情報へのアクセスなどが含まれ ます。
また、20日、委員会は多国籍企業を含む企業と人権について、事務総長に対し2年間の任期で独立専門家を任命することを求める決議を採択しました。この専 門家は企業の人権に関する責任の基準を明らかにし、多国籍企業を規制する国家の役割を検討し、企業の活動による影響の評価の方法などを模索など行い、第 62および63回会期に報告を提出します。その他にも、今会期には人権と国際的な連帯に関する独立専門家、マイノリティの問題に関する独立専門家、テロリ ズムに対抗する際の人権と基本的自由に関する特別報告者の任命差決議されました。
参考:「北朝鮮の人権状況に関する特別報告者の報告」(2005年1月,日本語)
参考:「拉致問題とアジアの平和・人権を考えるつどいを開催」(国際人権ひろば59号2005年1月) (日本語)
(2005年04月09日 掲載)