4月14日、最高裁判所第1小法廷は、証人が別室でビデオモニターを通して尋問に応じるいわゆるビデオリンクによる証人尋問を合憲と判断しました。
2000年の刑事訴訟法の改正により、性犯罪など一定の犯罪の裁判において、証人の精神的負担が大きいなど裁判所が相当と認めるときには、検察、弁護人お よび被告の意見を聴いた上で、一方から、または相互に「相手の状態を認識することができないようにするための措置」(遮蔽)をとること(157条3項)、 同じ構内の別の場所で映像と音声の送受信により尋問すること(ビデオリンク方式)ができること(157条4項)になりました。
今回の事件は婦女暴行、傷害で訴えられた被告が、1審で行われたビデオリンクによる証人尋問が憲法上の裁判の公開、被告の全ての証人に対して審問する権利を侵害されたと上告していたものです。
最高裁判所は、遮蔽方式かビデオリンク方式がとられたとしても、審理が公開で行われていることには変わりなく、裁判の公開を規定する憲法の82条、37条 1項に反しないとしました。また、遮蔽をとった場合、被告は証人を見ることはできませんが、弁護人は証人が供述しているのを見ることができ、ビデオリンク の場合は、被告も映像と音声を送受信でき、証人の供述を自分で聞き、自分で尋問することができるので、憲法37条2項前段の被告の審問権は侵害されないと 判断して、有罪とした高裁判決を支持しました。
この遮蔽、ビデオリンク方式は第62回国会に提出されている刑法・刑訴法などの改正案で新しく創設される人身売買にも適用されるよう提案されています。
出所:平成17年04月14日 第一小法廷判決 平成16年(あ)第1618号 傷害、強姦被告事件(最高裁判所ウェブページ,日本語)
(2005年04月08日 掲載)