参議院法務委員会は4月21日、刑法等の一部を改正する法律(案)[PDF 45KB]を可決しました。今回の改正(案)は刑法と「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の一部などで、人身売買罪が創設され加害者を取り締まることに主眼が置かれたものです。
刑法改正として人身売買罪が設けられ、「人を買い受けたり売り渡したりした者は3月以上5年以下の懲役に処するとし、被害者が未成年者の場合は3月以上7年以下の懲役と規定し、営利・わいせつなどが目的の場合は1年以上10年以下と厳しくするものです。
また、入管法の改正として「人身取引」の定義が設けられ、人身取引の加害者を新たに強制退去の対象とするほか、人身取引ブローカーの取り締まり強化のた め、他人を不法入国させる目的で偽造・変造旅券を所持・提供した場合、3年以下の懲役か300万円以下の罰金を科すというものです。
しかし、今回の改正では、人身売買の被害者保護に関しての法整備が含まれていないことから、「人身取引の被害者保護には、人権に十分配慮した多面的、きめ 細やかな対応が求められることから、専門的な保護機関の設置、被害者の生活の保護などを含めた総合的・包括的な法整備について更に検討すること」といった 被害者保護を最優先させることなどを求めた9項目の附帯決議が採択されました。
同法案は今後、衆議院で審議されます。
(法案は、法務省のウェブページに掲載[PDF 45KB])
参考記事:「政府が人身取引行動計画を策定」
参考:政府の「人身取引行動計画」(全文)
(2005年04月11日 掲載)