5月16日から6月3日に開催されていた子どもの権利委員会第39会期において、委員会は親などが伴っていない、または親などと別れてしまった出身国外にいる子どもの処遇に関する一般的意見第6を採択しました。
委員会は、戦争や内戦によって、あるいは人身売買や経済的理由による移住など様々な理由からそのような子どもが増加しており、その子どもたちの虐待や搾取 を受ける危険がより大きいことなどを指摘しています。意見では、まず、親などが伴っていない、あるいは別れてしまうという事態を防止すること、さらには、 そのような子どもを早期に特定することなどを含め、子どもの権利条約にあげられる権利について配慮するよう求めています。
そのような子どもたちに対して、特定、登録し、身分証など必要文書の発給を早急に行い、家族の捜査を早急に開始すること、子どもの最善の利益のための代理 人を確保する制度をつくること、ケアや滞在施設の確保、教育や医療ケアのアクセス確保、人身売買その他の虐待や搾取、軍への徴収などの防止措置をとること などを求めています。また、原則として子どもの自由を奪ってはならないことが強調されています。
その他、難民・庇護申請における保護について、子どもの最善の利益を代表する適切な代理人、後見人の他、無料で法的代理人のアクセスを確保すること、面接 などはそのような子どもの特殊な状況を考慮して行うこと、難民の認定に当たって親戚の迫害、子どもの軍への徴用、性的搾取など子どもが特に経験するような 迫害やジェンダーに基づく暴力に注意を払うことなどをあげています。
さらに、親などが伴っていない、あるいは親などと別れている状況に早期に対応し、親、家族との再会をはじめとして継続的な解決策に取り組まなければならな いとしています。親、家族との再会、出身国への帰還は子どもの最善の利益、子どもへの危険を考慮してのみ行い、また子どもを養育する親や家族がいない場合 は原則として出身国に帰還させてはならないとしています。その際には滞在国、または第三国での定住が考えられますが、その場合も子どもの最善の利益が考慮 されなければならないことなどがあげられています。
出所:[国連高等弁務官事務所] Committee on the Rights of the Child - General Comments (英語)
参考:平野 裕二「子どもの権利委員会による第2回日本政府報告書審査を検証する -強調された『権利基盤型アプローチ』」ひろば54号 (20004年3月)
(2005年06月06日 掲載)