MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. ニュース・イン・ブリーフ
  4. 拷問に焦点を当てた2005年国際人権デー

ニュース・イン・ブリーフ サイト内検索

 

Powered by Google


ニュース・イン・ブリーフ Archives


拷問に焦点を当てた2005年国際人権デー

  1948年、世界人権宣言が採択された12月10日は国際人権デーとされていますが、今年の人権デーは「拷問」に焦点が当てられています。
  アナン国連事務総長は人権デーにあてて発したメッセージで「拷問はテロとの闘いの手段とはなり得ない。拷問がテロの手段であるからである。」と述べ、世界人権宣言の原則を再確認し、拷問を地球上から撲滅するよう呼びかけました。
  また、アルブール国連人権高等弁務官は、テロとの闘いのなかで、拷問に対する絶対的な禁止が損なわれていることに懸念を示しています。高等弁務官は絶対的 禁止を損なう要因として特に、拷問、虐待などの恐れのある他国への容疑者などの引渡や送還など行う際、拷問や虐待を行わないという「外交的保障」を取り付 けて正当化する実行と、秘密の収容所に人を拘束する実行をあげています。
  前者の「外交的保障」について、拷問や虐待の恐れのある国への送還・引渡は国際条約の規定などにより禁止されているにもかかわらず、拘束力のない合意に よって空洞化を招く恐れがあるとしています。また後者について、どこに収容されているのか、拘束されているのかどうか自体もわからない被収容者について は、強制失踪にも当たると述べ、各国に拷問などの行為を国内法で禁止すること、そのような行為を受ける恐れのある国への送還禁止の原則を守ること、秘密の 収容所での収容を廃止すること、被収容者へのアクセスを確保すること、拷問などによって得られた証言の採用を禁止することなどを提言しています。
  拷問などの行為によって得られた証言・証拠の採用について、12月8日、英国の最高裁判所に当たる貴族院は、自国ではなく、外国で拷問によって得られた可能性のある証言・証拠の採用は認められないという判決を下しました。 この事件は英国の2001年反テロ法により、国家の安全を脅かす可能性があり、テロリストである可能性があると合理的に信じ得る人を認定し、強制退去また は収容できるとする規定に基づき、そのような認定を受けた人が、その認定が外国において拷問によって得られた証拠に基づいていると訴えていたものです。貴 族院はどこであろうと、誰によってであろうと拷問によって得られた証拠は英国の裁判所の証拠として認められないと述べました。

参照:
・国連人権高等弁務官事務所 国連人権デー2005 (英語)
・国際連合広報センター・プレスリリース05/099-J 「人権デーに寄せるコフィー・アナン事務総長メッセージ」
英国貴族院判決(英 語) A(FC) and others (FC)(Appellants) v. Secretary of State for the Home Department (Respondent) (2004) A and others (Appellants) (FC) and others v. Secretary of State for the Home Department (Respondent) (Conjoined Appeals)、(2005) UKHL 71, 8 Dec 2005

(2005年12月05日 掲載)