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ASEAN域内における地域的人権保障メカニズム設立へと一歩前進

  2005年12月12日にマレーシアのクアラルンプールで開催された加盟10カ国のASEAN首脳会議で、2020年までに実現をめざすASEAN共同体 の最高規範となる「ASEAN憲章」の起草を促す宣言が採択されました。そのなかで、憲章の柱として、「メンバー国の発展格差の是正」、「社会経済的、政 治的価値観の共有」、「民主主義、人権と義務、透明性、良き統治の促進および民主的システムの強化」、「紛争解決のための武力行使を放棄」などが盛り込ま れました。
  憲章の起草は、ラモス元フィリピン大統領やアラタス元インドネシア外相など各国の元政府高官で構成されている「賢人グループ」に委ねられ、2006年中に 草案が作成される予定です。憲章が完成すれば、地域的な人権保障を含むASEAN共同体にはずみがつくものとみられます。
  一方、域内の研究者やNGO、国家人権委員会、一部の政府関係者で構成されている「ASEAN人権保障メカニズムのためのワーキンググループ」は、 首脳会議に先立つ11月にはマレーシア外務省と懇談を行い、2004年に採択された「ビエンチャン宣言」のなかの人権保障に関するに項目について話し合い がもたれました。さらに、2006年初頭にクアラルンプールにおいてとりわけ設置することが合意されている「女性と子どもの委員会」についてより具体的な 議論が行われることが決まっています。
  一方、今回の首脳会議において、民主化と人権促進が遅々として進まないミャンマー(ビルマ)に、議長国マレーシアのサイドハミド外相を人権状況の視察使節 としてミャンマーに派遣することを決定しました。これに対してミャンマー政府も受け入れを意思表明しています。訪問が実現すれば、アウン・サン・スー・ チーさんとの面会を要請するものとみられます。
  アセアン加盟国はこれまで相互に内政干渉をしないという方針を保持してきましたが、欧米やNGOからの国際的プレッシャーなどを受けて、ミャンマーの人権状況に対して懸念・批判するという一歩踏み込んだ姿勢に転換しました。

参考:
 経済成長を続ける北京のビルの谷間で話し合ったアジアの人権課題
 「ASEAN人権保障メカニズムのためのワーキンググループ」 (英語)
 ASEAN事務局 (英語)

(2005年12月09日 掲載)