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社会権規約委員会が労働の権利、自己の科学的、文学的または芸術的作品から生じる精神的および物質的利益の保護を享受する権利に関する一般的意見を採択


  社会権規約の条約機関である社会権規約委員会の第35回会期が、11月7日から25日に開催され、スロベニア、オーストリア、ウズベキスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナとリビアの報告が審議されました。また、委員会は社会権規約6条の労働の権利と15条1項cの自己の科学的、文学的または芸術的作品から生じる精神的および物質的利益の保護を享受する権利に関する一般的意見を採択しました。
  自己の科学的、文学的または芸術的作品から生じる精神的および物質的利益の保護を享受する権利に関する一般的意見17は、この権利が他の知的所有権とは異 なり、人間の尊厳と内在的価値に由来する権利であると述べています。知的所有権の下のほとんどの権利が一時的であり、譲渡、放棄、制限が可能であるのに対 して、人権はそのような時限的制約がなく、作者とその作品、人や共同体をその集団的遺産と結びつけるものであるとして、知的所有権と区別しなければならな いことを指摘しています。委員会は、この権利にはその利益保護の享受のための法的措置や救済へのアクセスなどの条件が含まれると述べ、締約国に、権利を侵 害しない義務、第三者からの侵害から保護する義務、司法、行政などの救済措置を提供する義務があることをあげています。また、特に先住民族や言語的少数者 について実効的な保護が必要であることを指摘しています。
  労働の権利に関する一般的意見18は、労働を選択する個人の自由によって表される個人の尊厳から、締約国に、自由に選択したまたは承諾した労働の権利を保 障する義務があるとしています。この権利は雇用を得る絶対的で無条件の権利として理解されるものではなく、特定の仕事に就くよう強制されないことを示唆す る職業を自由に選択し、承諾する権利、不当に職を剥奪されない権利などを確保することを締約国の義務としてあげています。具体的には、強制労働の禁止、 16歳未満の子どもの労働の禁止、人の権利を尊重し、自らおよび家族の生計を立てることを可能にする所得を提供するディーセント・ワークへの平等なアクセ スの否定や制限を行わないこと、特に女性や若者のディーセント・ワークへのアクセスの権利を尊重すること、労働および研修への平等なアクセスを確保する措 置をとること、労働の権利に関する政策を策定し実施することなどをあげています。
経済社会理事会の1985年の社会権規約委員会設置決議は、委員会が締約国の報告および専門機関が提出する報告の検討に基づいて一般的な性格を有する勧告 を行うと規定しています。今回採択された意見を含めて、今まで規約にあげられる権利などについて18の一般的意見を採択しています。

出所:社会権規約委員会一般的意見(英語) 国連人権高等弁務官事務所
参考:社会権規約委員会が同規約3条に関する一般的意見を採択 ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ05年5月)

(2005年12月08日 掲載)