法務省は、外国人ダンサーや歌手などの日本への人身売買を防ぐため、雇い主に対する審査を厳格化することを目的に06年に法務省令を改正する方針です。 これは、05年2月に興行の在留資格で入国し「芸能活動」に従事する外国人の芸能歴の審査基準を厳格化した省令改正(施行は3月)に次ぐ施策で、前回はお もにフィリピンからの芸能人が対象となっていましたが、今回はすべての国からの芸能人に関わる改正です。
改正案(要綱)によると、日本の契約機関(招聘業者)が外国人と雇用契約をする際、国が定めた月20万円の最低報酬額を下回らないことを契約書に明記させ る。契約機関が過去3年間に基準以下の報酬しか払っていない場合や、その経営者や職員の中に暴力団関係者や、過去5年間に外国人の不法就労に関与した者が いたりする場合は、新たな外国人の雇用を許可しないことにする。一方、国や自治体が招聘した演劇などに外国人が出演する場合については、逆に審査基準を緩 和する、というものです。
この背景には、芸能活動を目的に来日した外国人は、本人に代わって招聘業者や、出演先の劇場やナイトクラブが、「興行ビザ」が認めていないホステス行為に 従事させたり、契約以下の報酬で働かせたり、強制売春をさせるケースが続いているという実態があります。 このため法務省は、こうした人身売買の撤廃に は、雇用機関と外国人が厳密な雇用契約を結ぶことが必要だと判断したものです。
同省は、この案を公開し05年12月5日~06年1月5日まで意見募集を行っています。詳細は、法務省のホームページの「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部改正に関する意見募集」にあります。
(2005年12月10日 掲載)