06年1月2日、ネパールのマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)が昨年の9月2日から実施していた停戦を破棄する宣言を行いました。 理由としてマオイストが停戦を表明した後も国王主導の政府側は停戦に応じず、マオイストに対する攻撃を続けてきたため、停戦を破棄せざるを得ないとしてい ます。事実、マオイストによる停戦の表明を受けてネパール国家人権委員会や国連などが、政府に対して停戦合意と紛争の平和的解決のための対話の開始を求め てきましたが、政府はこれに応じずマオイストを対話の余地のない「テロリスト」とし、その本拠地への空爆など大規模な攻撃を続けてきました。
マオイストとネパール会議派など主要7政党は、昨年11月に王政打破を目的とする基本的な協力関係に合意していましたが、今回の停戦の破棄によりマオイストと主要7政党との協力関係が崩壊すれば、ネパールの民主化運動に大きな影響を与えるものとみられます。
政府は2月8日に地方選挙を、続いて2007年の中ごろまでに総選挙を実施して「民主化」を進めるとしていますが、国王主導の民主化を否定し、制憲議会の設置や民主共和制の樹立を求める主要7政党やマオイストは選挙のボイコットを表明しています。
1月11日には昨年2月の国王による「非常事態宣言」以降で最大となるデモが、主要7政党の主導によりネパール南部の町ジャナクプルで実施され、10万人 もの人々が反王政を掲げで参加するなどネパールの政治状況は緊迫度を増しています。マオイストによる攻撃の再開も来月に予定される地方選挙を前に事態をよ り混迷化させることが懸念されます。
出所:
ネパール民主化、混迷 反政府勢力が停戦破棄 アサヒ・コム(1月12日)
"New year, but same old uncertainties", eKantipur.com(06/01/12)(英語)
"Huge anti-king protest in Nepal", BBC NEWS(06/01/12)(英語)
参考:非常事態宣言下のネパールに援助の停止が相次ぐ ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(2005年2月)
(2006年01月06日 掲載)