2006年3月17日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、先進国における難民および庇護の傾向に関する2005年報告を公表しました。 それによると、すべての先進諸国において、庇護申請者の数がこの5年間で半減しています。昨年の対象50か国における庇護申請の件数は33.6万件で、 2004年と比べると15%減、2001年と比べると、49%にまで減ったことになります。最も大きく減ったのはオーストラリア、ニュージーランドの 75%減(2001年と比較)で、米国とカナダは54%減でした。一方、ギリシャ、マルタ、韓国など一部の国では、2005年の申請件数はこれまでで最大 となっています。
フランスが15%も減ったにもかかわらず最も申請件数の多い国となり、次いで米国、英国、ドイツの順になりました。庇護申請者の最大の出身国となったの は、セルビア・モンテネグロで、ロシア、中国と続いています。庇護申請者の出身国上位10か国のうち、2005年も増加がみられたのはイラクとハイチ(い ずれも27%増)でした。日本は2005年中(1-11月)の申請件数が370件で、前年に比べて14%減となっています。また、人口1000人当たりに 換算すると、50か国中50位になっています。
グテーレス国連難民高等弁務官は、報告の数字が先進諸国で言われている難民問題の拡大が現実に則していないことを示していると述べ、庇護申請者の数が低下していることから、先進諸国が難民保護に向けて制度を改善できる立場にあると指摘しました。
出所:
・UNHCR News Stories(17 March, 2006),
"UNHCR: Asylum applications in the last five years drop by half", (英語)
・2005年報告 (英語)
参考:UNHCRが先進国30カ国における庇護申請件数が2004年前半期に減少と報告 ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2005年9月)
(2006年03月12日 掲載)