2006年4月24日、国連麻薬犯罪事務所(UNODC)は、「人身売買:グローバル・パターン」と題した報告を公表しました。 報告は前文で、人身売買がグローバルな課題であるにもかかわらず、その規模に関して情報が少ないこと、制度的な報告制度がないため、情報の有無が国により 限られており、国際的な比較分析ができないことを指摘しています。そして、UNODCがデータを有しているだけでも127カ国からの人が137カ国に売買 されており、世界に蔓延する問題としてグローバルな対応が必要であり、本報告が、さまざまな情報源からのデータをまとめ、各国の人身売買される人の出身 国、中継国、受入国としての傾向を明らかにして、グローバルな概観を提供するとしています。
報告はさらに、国連国際犯罪防止条約の人身売買禁止議定書の実施に当たって、人身売買の防止、訴追・処罰、被害者の保護などに関して勧告をしているほか、 実施を実効的にモニターできるよう、情報・データの収集に向けた勧告も行っています。報告の公表に当たり、コスタ事務局長は、議定書加盟国が今後一層取り 組まなければならない課題として、需要の削減、人の搾取から利益を得る犯罪者への対応、被害者、特に女性と子どもの保護をあげています。
UNODCはウィーンに本部を置く、麻薬、テロを含む組織犯罪などに対して取り組む国連機関で、1999年に始まった国連反人身売買グローバル・プログラ ムを実施し、人身売買に関するデータ収集、技術協力などを行っています。また、国連国際犯罪防止条約と人身売買禁止など3補足議定書の事務局にもなってい ます。
出所:
・国連麻薬犯罪事務所2006年4月24日付プレスリリース (英語)
・国連麻薬犯罪事務所報告 (英語)
(2006年04月14日 掲載)