「テロの未然防止」や「上陸審査及び退去強制の手続きの一層の円滑化」などを目的に、日本に入国する16歳以上の外国人に対し、指紋と顔写真の提供を義務付ける「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改定案[PDF 31KB]が5月17日の参議院本会議で可決されました。
改正入管法では、指紋と顔写真といった個人識別情報の提供は、特別永住者(在日コリアンなど)、16歳未満、外交官、国の機関が招へいした場合以外は、すべての外国人に対して課されています。07年11月までに施行される予定です。
政府は04年12月に「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、テロリストに対する入国規制などを打ち出していましたが、今回のそうした改正案はこの行動計画に基づくものです。
改定審議にあたり、人権団体および野党議員などから、人権上問題ありという意見が多く表明されていましたが、両院での採決時には「施行にあたり格段の配慮 をすべき」という付帯決議が行われました。衆議院の付帯決議が4項目に対して、参議院は8項目にわたっており、「施行後のプライバシーの保護」、「個人識 別情報の保有期間は合理的な期間とし、期間経過後は直ちに適切な方法で消去すること」、「個人識別情報の出入国管理の目的以外の利用は、慎重に判断し、必 要最小限なものとする」「『テロリスト』と認定するに至った事実関係等を明確かつ具体的に示す」などを求めています。
参考:
・衆議院付帯決議(3月29日法務委員会会議録) 衆議院会議録
・参議院付帯決議
・法務省が、外国人に対して入国時に指紋採取と顔写真撮影を義務づける入管法改定案を国会に提出 ヒューライツ大阪・ニュースインブリーフ(2006年3月)
(2006年05月06日 掲載)