アメリカ合衆国最高裁判所は2006年6月29日、アルカイダの指導者ビンラディン容疑者の元運転手のサリム・アフメド・ハムダン被告が、グアンタナモ米 軍基地の特別軍事法廷ではなく、明確な司法手続きに基づく文民による通常の裁判か軍法会議での裁判を求めて提起していた訴訟について、8人の判事のうち5 人が同被告を基地内の特別軍事法廷にかけることは、アメリカの軍事司法法典や捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約に違反していること、またグアンタナモの特 別軍事法廷の設置そのものが違法であると判断しました。アメリカ軍はキューバにあるグアンタナモ米軍基地に、アルカイダまたはタリバンと関係があると疑わ れる約460名を、裁判手続きを経ることなく長期拘禁していると見られています。
今回の最高裁の判決は、「テロとの戦いを名目に、テロの容疑者の長期拘束を正当化してきたブッシュ政権にとっては大きな痛手となる」とみられますが、ブッシュ大統領は、最高裁の判断を深刻に受け止めるとしながらも、新たな立法措置によってグアンタナモの特別軍事法廷の合法化を目指すことを示唆しています。
出所:
・グアンタナモ基地の軍事法廷は違法 TBSニュース(06年6月30日)
・BBC News, "Bush refuses to abandon tribunals" (June 30, 2006)(英語)
参考:アメリカ合衆国最高裁判所による判決文 [PDF 1,346KB] (英語)
(2006年06月14日 掲載)