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検察が取調べの一部録音・録画を試行

  2006年5月9日、法務大臣は裁判員制度の対象となる事件について、検察官による取調べの録音・録画の部分的な試行が行われることになると発表しました。
  2004年に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が制定され、一般の人が刑事裁判において、裁判官と一緒に事件を判断する裁判員制度が5年以内に導 入されることになりました。この制度の導入により、国民の司法への参加を促し、より迅速でわかりやすい司法制度にしていこうとするものです。対象となる事 件は、死刑、無期懲役または禁固刑となるなどの重大な罪に関する事件で、選挙権を有している人の中から抽選により毎年つくられる名簿から事件ごとにくじで 選ばれた原則6人の裁判員が3人の裁判官と裁判の手続きに参加し、評議の上、判決を出します。
  法律の専門家ではない一般の人の参加に向けて、既に公判前争点整理手続きなどによる裁判期間の短縮などが図られています。発表された検察による取調べの一部録音・録画もその一環として導入されます。最高検察庁の「裁判員裁判の下における捜査・公判遂行の在り方に関する試案」で、 検察官は裁判の中で、わかりやすい、迅速、的確な主張・立証を実現すべきであるとしていますが、被告人の自白の供述書についてそれが任意に基づくものであ るかどうか、強要されたものではないかどうかが問題となる可能性について、そのような疑いが生じないように、また、疑いが生じた場合に任意性を立証できる よう具体的な方策を検討する必要があることがあげられていました。その方策の一環として、検察官の責任において、任意性の立証の必要があると認めた場合、 検察官による取調べのうち、相当と認められる部分について録音・録画の試行が行われることになりました。
  密室となる取調室での自白などの強要を防止するために、取調べの録音・録画による可視化の必要は日弁連を始め多くの団体から指摘されています。1998年11月の自由権規約委員会による日本政府報告審議に対する総括所見においても、委員会は、「自白が強要により引き出される可能性を排除するために、委員会は、警察留置場すなわち代用監獄における被疑者への取調べが厳格に監視され、電気的手段により記録されるべきことを勧告する」と述べています。
  一方、日弁連はこの発表を歓迎しつつも、可視化が検察による取調べの一部に限定されること、警察での取調べには及ばないことなど、まだ課題があるとのコメントを出しています。

出所:
・法務大臣記者会見要旨(18年5月9日付)
最高検察庁
・検察庁 「裁判員裁判の下における捜査・公判遂行の在り方に関する試案」
自由権規約委員会の日本に対する総括所見
・日弁連 「取調べの録画・録音試行についての法務大臣発言についての日弁連コメント」(06年5月9日付)

参考:日弁連 「取調べの録画・録音試行についての申入れ」(06年6月13日付)

(2006年06月08日 掲載)