2006年8月1日、ユニセフは、世界各地で家庭内暴力が子どもに対して大きな影響を及ぼしていることを示した報告書を公表しました。この報告書はユニセフとボディ・ショップ・インターナショナルが協力して、子どもに対する暴力に関する国連事務総長による調査に基づいて作成しています。
この報告よると、世界中で少なくとも3.75億人の子どもが家庭内で暴力にさらされています。多くの国で統計が限られていたり、全く公表されていないこと から、ユニセフは実際の数字はそれよりも高いことを示唆しています。その中には、子ども自身が暴力の被害を受ける場合があり、家庭内暴力と子どもの虐待の 関連が指摘されています。また、自分自身が暴力の対象とならない場合でも、子どもの身体的、感情的、社会的な成長に否定的な影響がもたらされることが報告 されています。小さい子どもが成長期の重要な時期に影響を受け、学習に問題が出たり、成長してからの行動に問題が出たりする割合が高いこともあげられてい ます。さらに、家庭内暴力にさらされていた子どもが、成長して家庭内で暴力をふるったり被害者となる割合も高く、次世代に暴力のサイクルが連鎖していく可 能性が高いと述べています。一方で、家庭内で暴力が起こっているのをやめさせようとする、あるいは被害者を助けようとする子どもも多くいることをあげ、多 くの暴力にさらされている子どもが、成長しても積極的に暴力に反対していることも指摘しています。
報告は、子どもには安全な家庭環境、子どもの話を信じて保護してくれる大人の存在などが必要であるとし、また、非暴力的な問題の解決方法を学ばなければな らないと述べています。さらに、そのために、政府が家庭内暴力の子どもへの影響についてキャンペーンなどの広報活動などにより意識の向上をはかり、子ども の保護のための政策や法律をつくるほか、家庭で暴力にさらされる子どもに対して予防、介入や、暴力を受けている大人への支援も含めた社会サービスを拡充す ることを求めています。
出所:
・ユニセフ(8月1日付プレスリリース) "Some of the biggest victims of domestic violence are the smallest" (英語)
・報告Behind Closed Doors: The Impact of Domestic Violence on Children (英文)
(2006年08月03日 掲載)