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ネパール:新軍事法案に対して国連人権機関が改正要求

  国連人権高等弁務官事務所のネパール・オフィスが、ネパールの新軍事法案について国際人権基準を満たさないとして、ネパール政府に対して改正を要求しています。主な問題点として「第 1に、軍による裁判外の処刑、強制失踪や拷問といった深刻な人権侵害について文民による裁判を認めていないこと、第2に深刻な人権侵害を犯した軍人に対す る文民による調査について軍による十分な協力を得られないこと、第3に軍法会議の審議において被告人の権利が保障されていないこと」を指摘し、下院で法案審議に入る前に見直すよう勧告しています。
  1996年にネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)が武力闘争を開始して以来、マオイストと王室ネパール軍や警察などによる強制失踪や拷問、処刑など の人権侵害が頻発したネパールでは、この10年間で13,000人を超える死者と数千人ともいわれる行方不明者や被害者をだしています。しかしながら、軍 による拘束が疑われる場合でも、軍の関連施設を国家人権委員会などの他の政府機関が立ち入り調査することができず、また軍による拘束、強制失踪や拷問など の人権侵害については旧軍事法においても軍事法廷の管轄となるため、実質的に刑事免責処分となってきました。例えば国連人権高等弁務官事務所ネパールオフィスの調査報告に よると、ネパールのバイラブナス大隊(Bhairabnath battalion))で組織的な拷問と殺害が行われ、2003年9月から12月の間にマオイスト又はその支援者の容疑で拘束された137名が拷問を受 け、3名の死亡が確認、49名が行方不明とし、軍に対して調査を要求していますが未だ真実は明らかになっていません。
  今年4月の民主化運動によって回復した民主政権は、5月の「国会宣言」によって国王特権を制限する中で、軍の最高司令官としての国王の権限も廃止し軍を文 民統制へ変更しましたが、旧軍事法と同様に軍による人権侵害を通常の裁判手続きで訴追できない制度や軍の拘置施設を他の政府機関が立ち入り調査できない制 度を残すことは、ネパールにおける最大の人権侵害を放置することになります。

出所:
"OHCHR demands revision in army bill: Report", Nepal news.com(22 August,2006)
・"Report of investigation into arbitrary detention, torture and disappearances at Maharajgunj RNA barracks, Kathmandu, in 2003 - 2004", UNOHCHR, Nepal(May 2006).

(2006年08月09日 掲載)