8月7日から開催されていた、人権保護促進小委員会の最終会期が25日終了しました。5月に開催された、人権理事会の第1会期では、小委員会に対して、理事会の専門的諮問機関のあり方に関する見解と、これまでの同委員会の活動の概要及び現在行われている調査に関して報告するよう要請が決議されていました。それを受けて、小委員会は、人権理事会に対して、調査研究や基準設定などを行う常設の独立専門家による諮問機関の必要性を指摘する報告を採択しました。
また、小委員会は前会期からの人権に関する様々な問題に関する報告などを審議しました。「職業と世系に基づく差別」に関しては、引き続き横田洋三委員と鄭 鎮星委員にそのような差別の撤廃のための原則と指針案と報告を完成するよう要請し、その作成にあたり、アジアとアフリカでそれぞれこの問題に関する地域 ワークショップと、ジュネーブで討議のための会合の開催を提案する決議を採択しました。これらは、前会期の決議でも提案されていましたが、実施されていま せんでした。そのほか、小委員会の作業部会が作成した極度の貧困との戦いにおける既存の人権の規範と基準の実施に関する報告を歓迎し、作業部会の作成した 「極度の貧困:貧しい人の権利」と題した指針となる原則について、人権理事会でとりあげ、専門家や極度の貧困状態にいる人々との協議の上、採択し、総会に 提出するよう要請する決議を採択しています。その原則には、貧困状態にいる人々には、自らに関する決定に参加する権利を含む、すべての人権を十分に享受す る権利があること、国際、国家、地方レベルの政府、機関は極度の貧困を撲滅する実効的な措置をとらなければならないこと、その際には貧しい人々も参画して いなければならないこと、貧しい人々に対する差別が人権侵害であることなどがあげられています。他にも、平和支援活動に参加する国際要員の責任について、 ハンプソン委員を特別報告者に任命し、報告する要請など、あわせて30の決議を採択しました。
参考:
・国連人権高等弁務官事務所8月25日付プレスリリース "Sub-Commission on Promotion and Protection of Human Rights Concludes Session" (英語)
・人権保護促進小委員会第58会期報告案(英語)
・国連:人権保護促進小委員会最終会期 ヒューライツ大阪ニュースインブリーフ(06年8月)
(2006年09月02日 掲載)