日本とフィリピンの両政府間で06年9月9日に署名調印が行われていた経済連携協定(EPA)が、12月6日の参議院本会議で承認されました。この協定 は、物品(約9,300品目)、サービスの貿易、投資、人材の自由化を促進するとともに、知的財産、反競争的行為の規制、ビジネス環境整備、人材養成や中 小企業などの分野での協力を目的とした包括的な内容が盛り込まれています。
人材の移動に関しては、日本がフィリピンの看護師と介護福祉士を日本の国家資格取得などの条件付きで受け入れることにしています。日本がこれまでに結んだEPAのなかで、労働者の受け入れは初めてのことです。
衆議院では11月14日に承認されていることから、あとはフィリピンの議会(上院)における批准手続き終了後に発効することになっています。
しかし、協定書の関税削減対象のリストに廃棄物が含まれていることから、バー ゼル条約でその移動が厳しく管理されている有害廃棄物が日本からフィリピンへ輸出されるのではないかという懸念の声が、フィリピンの市民団体や政治家の間 で高まっており、批准に反対する抗議行動が強まっています。
日本からフィリピンへの輸出物品の関税率を示すフィリピン側の表に、ヒ素、水銀などを含む残渣、焼却灰、医療廃棄物、生活ゴミ、下水汚泥、有機溶剤などの廃棄物が関税ゼロの物品として記載されていることがその背景にあります。
在比日本大使館はウェブページなどで、日比両政府は有害廃棄物の輸出入を規制するバーゼル条約に基づいて有害廃棄物の輸出入を厳しく規制していると説明をしています。
参照:
・日・フィリピン経済連携 外務省
・「経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国政府との間の協定」(日フィリピン経済連携協定)の署名について 経済産業省
・在比日本大使館
・日・フィリピン経済連携協定(JPEPA)問題
・化学物質問題市民研究会
(2006年12月05日 掲載)